都市スプロール化反対の国民発議、否決される
(スイス)
ジュネーブ発
2019年02月22日
スイスで2月10日に行われた国民投票では、「都市スプロール化(注)反対イニシアチブ(国民発議)」の是非が問われ、63.7%の反対により否決された。
本イニシアチブの要求は、スイスの自然と景観を守るために、スイス全土の都市開発計画を凍結すること、もし都市区画の面積を拡大する場合は、少なくとも同じ面積の土地を都市区画から除外する(自然に戻す)ことだった。加えて、現在建設中、もしくは今後建設予定の建物・施設を憲法に列記することも求めていた。
本イニシアチブは緑の党青年部が発議し、社会民主党も支持したが、右派や政府、議会の多数が反対していた。また、全ての州において過半数の投票者が反対した。都市レベルでみると、チューリヒ(賛成:50%)、ベルン(49%)、ジュネーブ(52%)、バーゼル(48%)と、比較的人口が多い都市では賛成率が高かった。
投票後に、シモネッタ・ソマルガ環境・運輸・エネルギー・通信相はこの結果に満足しているとコメントを発表し、2013年から施行されている都市計画法の中で、スプロール化を防ぐための都市活用方法が定められていると述べた。議会としても、本イニシアチブの目指すゴールには共感するものの、イニシアチブの内容は過激で急進的過ぎると判断したことにも触れた。
そのほか、各州においても州レベルの議題について国民投票が実施された。例えば、ジュネーブ州では政教分離の厳格化に関するレファレンダム(既に制定された州法の是非を問う制度)が可決され、今後、ジュネーブ州の公務員は、職場で宗教的な意味を有する服装を他者に分かるように着用することが禁じられる。
(注)都市が無秩序に拡大していくこと。
(城倉ふみ、マリオ・マルケジニ)
(スイス)
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