重慶市、2018年の経済成長率は6.0%

(中国)

成都発

2019年02月06日

重慶市統計局は1月22日、2018年の同市の経済概況を発表した。それによると、域内総生産(GRP)は、総額が2兆363億1,900万元(約32兆5,811億円、1元=約16元)、実質経済成長率(前年比)は6.0%と、中国全体の成長率(6.6%)を0.6ポイント下回った(図参照)。2006年以来初めて中国全体の成長率を下回った。

図 中国と重慶の実質経済成長率

産業別の内訳では、第一次産業が4.4%増の1,378億2,700万元、第二次産業が3.0%増の8,328億7,900万元、第三次産業が9.1%増の1兆656億1,300万元となった。第二次産業のうち、一定規模以上の企業の工業生産増加値(付加価値ベース)は、0.5%増だった。工業生産を3大部門別にみると、採鉱業が13.1%減、製造業が0.4%増、電力・熱・ガス・水の生産供給業が8.0%増だった。製造業の業種別では、電子製造業が13.6%増、自動車製造業は17.3%減となった。

同市の経済成長率低下の原因は、製造業の牽引力が徐々に低下していることにある。同市の第二次産業の成長率をみると、2010年(前年比22.6%増)をピークに年々伸び率が鈍化している。

消費動向を示す社会消費品小売総額は8.7%増。都市部住民1人当り可処分所得額も8.4%増の34,889元だった。

貿易総額は15.9%増の5,222億6,200万元となった。うち、輸出が17.7%増の3,395億2,800万元、輸入は12.5%増の1,827億3,400万元だった。品目別にみると、集積回路の輸入が前年比で増加、ハイテク技術製品の輸入が前年比21.4%増の2,314億9,000万元となった。重慶理工大学の邱冬陽教授は2018年重慶市の経済概況について、重慶市は「高速成長」から「質の高い成長」への移行を目指し、スマート製造産業などの戦略的新興産業として育成しているとした(「21世紀経済報道」1月23日)。ただし、こういった戦略的新興産業は産業チェーンが充実しておらず、同市の支柱産業なるまでにはもう少し時間を要するだろうとの見方を示している。また、1月14日付の「重慶日報」は、同市での伝統産業構造の転換が容易ではなく、市場への適応が不足しているとし、特に同市の自動車生産台数と販売台数がともに大幅に減少したことの影響を指摘している。

(王植一)

(中国)

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