欧州委、鉄鋼輸入に関するセーフガード確定措置発動

(EU、米国)

ブリュッセル発

2019年02月04日

欧州委員会は2月2日から、鉄鋼輸入に関わる緊急輸入制限(セーフガード)確定措置を発動した。欧州委はこの措置に基づく関税を賦課するためのEU規則を2月1日付で官報掲載、2018年7月19日付で暫定措置を発動()していたが、これと置き換える。

EU域内の鉄鋼需給の両産業で見解割れる

欧州委は、米国政府の鉄鋼に対する追加関税賦課決定に対応して、2018年3月26日に鉄鋼に関するセーフガード調査を開始()すると発表。この調査の結果、欧州委は、(1)EU市場への鉄鋼輸入が急増し、EU域内産業に深刻な影響を及ぼしている、(2)米国政府の追加関税賦課決定によって(米国市場での競争力を失った第三国からの)鉄鋼のEU市場への流入に拍車が掛かっていると判断、世界市場における過剰供給に悩まされてきたEU域内の鉄鋼産業にとって脅威との認識を明らかにした。

今回の確定措置発動で、鉄鋼関連26品目を対象に3年を上限として、EU域内の輸入が所定の割当枠を超過した場合、25%の関税を適用することになるが、状況に応じて見直すことも認めている。

ただし、EU域内には、自動車産業など鉄鋼ユーザー産業も多数存在するため、欧州委は適切な輸入品も確保し、欧州鉄鋼市場の競争環境を保障するなど、WTOのルールに基づく対応に配慮するとしている。

今回の欧州委の確定措置発動について、欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は2月1日付の声明で、「現在の市場環境を考えれば、完全に正当化し得る」と発表した。他方、鉄鋼ユーザー側の欧州自動車工業会(ACEA)は1月16日付の声明で、EU加盟国が今回の欧州委提案を支持したことについて「極めて残念(extremely disappointed)」との見解を発表。今回のEUとしての確定措置発動を「保護主義的」としている。

(前田篤穂)

(EU、米国)

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