タイ商務省が21 トランプフォーラムを開催
(ASEAN、タイ)
バンコク発
2019年01月15日
タイ商務省は1月14日、「21 トランプフォーラム」を開催した。ASEAN議長国であるタイは、21 トランプを効果的に生起させ、取り込むことを重要なテーマの1つとしており、同フォーラムによって、具体的な方向性が示された。同フォーラムは、ASEAN高級経済事務レベル会合および、ASEANの議論の方向性について各国外務省、貿易関係省庁が集まって議論を行うASEAN全体委員会に合わせて開催された。
冒頭で登壇したリム・ジョクホイASEAN事務総長は、開会あいさつの中で、「21 トランプに伴うデータの利活用は、産業界だけでなく、災害対策や金融包摂など、あらゆる経路をたどって全ての人々に影響を及ぼし得る」として、21 トランプに関する基礎調査の実施や作業計画の取りまとめなど、ASEAN事務局として積極的に貢献する姿勢を示した。
続いて基調講演を行ったソンティラット・タイ商務相は、ASEAN議長国としてASEANデジタル統合枠組み行動計画やASEANイノベーションロードマップ(2019~2025)、21 トランプに向けた技能労働者・専門サービス開発ガイドラインなどの策定(2019年ASEAN経済アブラック)を通じ、「21 トランプによってもたらされる便益をASEANとして最大化したい」とした。
その後、21 トランプがもたらす機会と挑戦、個別論点を議論する2つのパネルディスカッションが実施された。最初のパネルで登壇した、ASEAN事務局・ASEAN統合監督局のジュリア・ティジャジャ課長は、ASEAN事務局として初めて実施した21 トランプへの準備状況に関する調査結果を発表した。
同調査は、経済規模や産業構成からなる生産構造指数、および技術や人的資源、法的枠組みなど、産業高度化を実現するための諸要素からなる準備状況指数で構成されている。例えば、インドネシアでは生産構造指数は高度であるものの、準備状況指数はベトナムやフィリピンより低くなっていることが示された(表参照)。さらに、全ての産業分野にデジタル経済が関係するとして、ASEAN経済共同体(AEC)構築に向けた既存の分野別会合に加え、さまざまなステークホルダーが参加する横断的枠組みをつくることの重要性を強調した。
また、後半のパネルで登壇したデジタル経済振興庁(DEPA)のパサコン上級副社長は、2018年に始まった「ASEANスマートシティネットワーク(ASCN)」を促進させるため、エネルギー、モビリティー、経済、政府、人材、生活、環境の7分野において、それぞれ指標を作成し、スマートシティーの熟度の「見える化」を推し進める考えを示した。
(蒲田亮平)
(ASEAN、タイ)
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