政府機関の一部閉鎖解除、約30億ドルの経済損失に
(米国)
ニューヨーク発
2019年01月31日
2018年12月22日から35日間に及ぶ米国連邦政府機関の一部閉鎖は、2月15日までの「つなぎ予算」が成立したことを受け、1月25日に一時解除された。同予算には、政府閉鎖をめぐり与野党間の争点となっていたメキシコとの国境の壁建設に関わる予算は含まれなかった。トランプ大統領はこれまで、「国境の壁建設費用を含まない、いかなる予算案も承認しない」との立場を示していたが、政府機関の一部閉鎖による影響が拡大したことで、ひとまず民主党に譲歩するかたちとなった。
トランプ大統領は25日の会見で政府閉鎖の一時解除に向けた与野党の合意を発表し、つなぎ予算が失効する2月15日までに与野党間で国境警備予算に関する協議を重ねると述べた。また、国境の壁建設費をめぐり「議会で公平な合意ができなければ、政府は2月15日に再び閉鎖する」と民主党を牽制し、合意できない場合は国境の壁建設費を捻出のため非常事態宣言を発動する可能性をあらためて示唆した。
米議会予算局(CBO)は、5週間にわたる政府機関の一時閉鎖により、約30億ドルの経済損失が生じたとの試算を発表した。他方で、連邦政府による事業認可や融資の遅滞など、一時閉鎖に伴う間接的なマイナス効果は試算に織り込まれていないとし、定量化は難しいものの経済損失は試算よりも大きくなる可能性を指摘した。また、実質GDPは2018年第4四半期(10~12月)が0.1ポイント、2019年第1四半期(1~3月)が0.2ポイント、それぞれ押し下げられるとの試算を示した。ほかにも政府機関の一部閉鎖は、運輸保安局の職員不足による空港での混雑や国立公園の閉鎖、80万人以上の連邦政府職員への給与未払いなど、全米各所に影響を及ぼしていた。また一時閉鎖を受けて延期されていたトランプ大統領による一般教書演説は2月5日に実施すると発表された。
(須貝智也)
(米国)
ビジネス短信 0109a54fda153284