中国企業の対ドイツ投資への警戒感強まる

(ドイツ、中国)

ベルリン発

2018年12月06日

ドイツを代表するロボットメーカーのクーカは11月26日、同社のティル・ロイターCEO(最高経営責任者)が12月に任期途中で退任することを発表した。当初の任期は2022年となっていた。ロイター氏は2009年からクーカに加わって経営を立て直し、ドイツのデジタル化戦略「インダストリー4.0」を担ってきた。

同氏は「アウグスブルガー・アルゲマイネ」紙に対して、今回の決定は自身の意向に反したものであることを明らかにしている(11月26日)。

中国大手電機メーカーのミディアグループ(美的集団)は2016年8月、公開株式買い付け(TOB)によってクーカ株式の約95%を取得した。当時、一部の政治家やメディアからは、クーカが持つドイツのロボット技術と同社の顧客である自動車メーカーなどのブラック ジャック 無料 ゲームが流出するとの懸念もあったが、ロイター氏は、独中協力が両国にとって利益をもたらすことを証明したいと語っていた(「ビルトシャフツ・ボッヘ」紙4月25日)。

なお、監査役会の株主代表6人のうち、当初2人だったミディアグループからの代表は、現在4人になっており、クーカへの影響力を強めている。

今回のクーカCEOの任期途中の交代を受けて、ドイツ連邦経済・エネルギー省の前大臣で社会民主党(SPD)前党首のジグマール・ガブリエル氏は、中国による投資の影響についてあらためて警告し、「メード・イン・ジャーマニー」のコントロールを外国投資家に委ねることの問題を提起した(「アウグスブルガー・アルゲマイネ」紙11月27日)。同氏は、中国国内のドイツ企業がドイツ国内の中国企業と同様の事業環境が提供されていないことを問題視し、競争は対等な条件で行われるべきだとした。ドイツ産業連盟(BDI)も従来から中国に対し、ドイツと同じように開かれた市場とするよう、相互主義を求めている。

中国企業が買収したドイツ企業への影響力を強める動きは近年、ドイツ経済界の注目を集めている。2018年5月に寧波継峰汽車零部件による買収合意が発表された自動車部品メーカーのグラッマーは、寧波継峰グループによる持ち分が84.23%まで引き上げられたのち、9月24日に経営陣の交代を発表した。2016年1月には樹脂加工機器メーカーのクラウス・マッファイを傘下に収めた中国化工集団は2017年1月に上海証券取引所にクラウス・マッファイの株式上場を行った。

(増田仁)

(ドイツ、中国)

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