トヨタ、合弁会社TPCAの完全子会社化を発表
(チェコ)
プラハ発
2018年12月05日
トヨタ自動車は11月30日、チェコ・コリン市に2002年に設立されたグループPSA(フランス)との合弁会社、トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(TPCA)を、2021年1月からトヨタの欧州統括会社であるトヨタ・モーター・ヨーロッパ(TME、本社:ブリュッセル)の完全子会社とする旨を発表した。
TPCAはTME50%、PSA50%の合弁会社で、2005年2月から、トヨタ「アイゴ」、プジョー「108」、シトロエン「C1」の3種類の小型乗用車の生産を行っている。さらにTMEは、PSAと2012年から小型商用車部門でも協力しており、PSAはオルデン工場(フランス)でトヨタ「プロエース」をOEM生産しているが、これに加えて2019年から、ビーゴ工場(スペイン)で小型バンも生産することを決定している。
TPCAはTMEによる完全子会社化後も、同モデルの小型乗用車生産を継続し、生産と雇用は維持される予定だ。同社の現在の雇用数は約2,400人。
同社の生産能力は年間30万台だが、2017年の実績は19万9,078台だった。年間生産台数は2009年の33万2,489台をピークに、2013年まで減少を続け、その後やや回復したものの20万台前後にとどまっていた(図参照)。
「チェコ経済新聞」は、英国のEU離脱に鑑み、トヨタが英国外の製造拠点における生産を強化する方針と報じている。また、小型車製造においては比較的利益が少なく、今後EUの排ガス規制により新たな投資を余儀なくされるため、さらに利益が少なくなる可能性がある点を指摘し、その対策としては小型車以外のモデルの生産、あるいは電気自動車の生産の導入が妥当、との専門家の見解を取り上げている。また同紙は、コリン工場で現在余っている約10万台のキャパシティーが今後、小型車以外の生産に回され、雇用が増大する可能性もあるとして、今回のTPCAの経営方針の変更をチェコにとっては良いニュース、と評価している。
(中川圭子)
(チェコ)
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