IMFがウクライナ向けのスタンドバイ取り決めを承認
(ウクライナ)
欧州ロシアCIS課
2018年12月25日
IMFは12月18日の理事会で、ウクライナに対し14カ月にわたって39億ドルの金融支援をするスタンドバイ取り決め(SBA)を正式に承認した。第1トランシェ(分割融資)は約14億ドルで、ウクライナ財務省によると、12月25日までに融資が実施される見込み。一方、今回の決定により、2015年3月から3回にわたって実施してきた金融支援EFF(拡大信用供与措置)(2017年11月17日地域・分析レポート参照)の廃止が予定されている。
今回のSBAはウクライナの経済と金融の安定維持を目的とし、a.公債の発行減少による財政健全化の継続、b.為替自由化の継続の中でのインフレ抑制、c.金融セクターの強化、資産回収の促進、銀行による融資の拡充、d.税制・私有化・汚職対策などの構造改革の推進、の4点に焦点を当てたもの。
IMFのデビッド・リプトン筆頭副専務理事は「ウクライナ政府は、国際社会の支援によって経済の安定と成長に成功した」として、これまでのEFFの成果を強調した。また、「今回の取り決めは2019年の経済政策のよりどころとなるだろう。投資・ビジネス環境の改善に向けて、私有化改革と反汚職対策がカギとなる」と述べている。(IMFプレスリリース12月18日)
ウクライナでは、2019年3月に大統領選挙、11月に議会選挙が行われる。世界銀行ウクライナ・カントリーダイレクターは「今回の取り決めは、選挙を控える中でのマクロ経済安定維持も目的の1つ」と指摘している(ラジオ「フリーヨーロッパ・ラジオリバティ」12月19日)。
ウクライナ国内ではこれを好感する向きが多い。キエフに本拠地を置くブレイザー基金のオレグ・ウステンコ専務理事は「新規融資により、半年以内に通貨フリブニャの為替レートは安定するだろう」と述べ、2015年に大きく下落して以降、下落傾向にあるフリブニャの安定に期待を示している(「ウニアン」12月19日)。
(加峯あゆみ)
(ウクライナ)
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