感謝祭商戦のネット売上高は過去最高に
(米国)
ニューヨーク発
2018年11月29日
米国ソフトウエア大手アドビシステムズは、米国で年末商戦の始まりとされる感謝祭(11月22日)から翌週月曜日まで5日間のオンライン売上高を発表した。5日間の合計額は242億ドルを記録し、前年より46億ドル増加した。中でも、ネット販売のセール日とされる「サイバーマンデー」の売上高は19.7%増の79億ドルとなり、1日当たりの過去最高の売上高を記録した。また、感謝祭翌日の「ブラックフライデー」も前年比23.6%増の62億ドルに達した。
5日間における消費者1人当たりのオンライン平均支出額についても、前年同期比6.1%増の138ドルと伸びを示した。都市別にみると、コロラド州デンバーが163ドルと最も高かった。次いで、カリフォルニア州サンフランシスコ(157ドル)、ニューヨーク州ニューヨーク(156ドル)、オレゴン州ポートランド(156ドル)、ワシントン州シアトル・タコマ地域(154ドル)となった。
売れ筋商品としては、最もネット販売が盛況となる「サイバーマンデー」において、任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」や、音声アシスタント端末「アマゾン・エコー」、小型無人飛行機(ドローン)など、デジタル関連機器が売れた。
購入手段としては、モバイル端末が引き続き多く利用され、オンライン売上高全体の約3分の1に達した。特に、スマートフォン経由の注文が急増し、売上高が21億ドルと過去最高を更新した。一方で、最近ではオンラインで購入した商品を店舗で受け取るサービス(BOPIS:Buy Online, Pickup In-Store)の利用も増えている。アドビの調査によると、週末にかけてBOPISの利用者数が前年同期比50%と大幅に伸び、過去最高を記録するなど、オンラインとオフライン双方の利点を融合したサービスが広まっている。
こうした中で、小売業者はより多くの消費者を取り込むため、期間中の配送料の無料化や送料引き下げを実施し、コスト上昇要因となっているとの指摘がある。ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストであるプーナム・ゴヤル氏は「今後、配送にかかるコスト負担の増加は、(小売業者にとって)より大きな収益率の悪化要因となっていくだろう」との見方を示した(ブルームバーグ11月27日)。
(樫葉さくら)
(米国)
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