生鮮野菜・果物の選別・梱包施設に関する規制が施行
(タイ)
バンコク発
2018年11月29日
タイで、生鮮野菜・果物の流通に関する新たな規制が施行され、関連事業者の間では日本からの野菜・果物の輸出継続に懸念を示す声が聞かれ始めた。
生鮮野菜・果物の残留農薬の問題などを踏まえ、タイ保健省は2017年8月と9月に、選別・梱包(こんぽう)施設に対し、衛生に係る条件を満たすよう求めることとする告示第386号、ならびに同告示を補足する通知を公示していた(注)。農薬使用を適切に管理している栽培地から野菜・果物を入荷し、衛生的な施設において選別・梱包を管理するとともに、出入荷や製造などに関する記録を保持し、販売時に製造者などのブラック ジャック webを表示することなどが求められている。違反した場合は、1万バーツ(約3万4,000円、1バーツ=約3.4円)以下の罰金などが科せられることとなる。
今回の規制は、新規に参入する事業者には2018年8月25日から適用が開始され、既存事業者には2019年8月25日から適用されることとなっている。特に既存事業者からは、日本産野菜・果物の輸出継続への懸念の声が聞かれる。日本からタイへ輸出する場合、国際認定フォーラム(IAF)で認められた組織・機関からISO22000などの認証を得るか、保健省指定の基準に適合している旨の日本政府などの証明書を得る必要がある。ただし、日本においては、前者の認証を取得している施設は少なく、後者で対応する場合は、施設を基準に適合させることに加え、行政機関による証明書発行体制を整える必要があり、時間を要することが予想される。
対象となる品目は、メロン、イチゴ、オレンジ、ナシ、ブドウ、リンゴ、ネギ、トマト、ジャガイモをはじめ、保健省告示に列挙されているものとなるが、保健省食品医薬品局(FDA)によると、タイ国内の生産現場の状況などを踏まえ、対象品目は将来的に拡大することが見込まれている。タイでは近年、日本の野菜・果物が人気となっており、リンゴやイチゴなど、日本からの輸出金額が増加傾向にあるが、今後、輸出に当たっては新たな対応が必要となる。
なお、日本・タイ間で協議されている植物の検疫条件により、日本からの野菜・果物の輸出に当たっては、リンゴやイチゴなどのように生産園地や梱包施設の登録が求められる場合があるが、登録済みの梱包施設であっても、前述の告示への対応も必要となることに注意が必要だ。
(注)詳細は、FDAのウェブサイトを参照。保健省告示2017年第386号(タイ語)(英語)(日本語仮訳は添付資料参照)、同告示を補足する通知(タイ語)(日本語仮訳は添付資料参照)。
(福田かおる)
(タイ)
ビジネス短信 7627d93e4388b6e7