GMや日産など、EV税控除の上限撤廃を求める連盟を設立

(米国)

ニューヨーク発

2018年11月26日

自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)、日産、テスラや電機メーカーのABB、環境保護団体などは11月13日、プラグインハイブリッド車を含む電気自動車(EV)を対象とした税額控除の上限廃止を求めるEVドライブ連盟(EV Drive Coalition)を発足PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)させた。

EVの税額控除制度は、2009年3月にオバマ政権の下で、米国再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act)に基づいて制定された。これにより消費者は、連邦税の還付申請を通して、同年12月31日から後に購入したEVに対し、バッテリーの性能に応じて1台当たり2,500ドルから7,500ドルの控除を受けられる外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますこととなった。事実上、消費者にとってはキャッシュバックと同様の効果があるため、EV購入の大きなインセンティブとなってきた。しかし、各メーカー当たりの控除対象車両は、累積販売台数で20 万台に限定されているため、最近では先行メーカーの間で、上限達成後の価格競争力低下を懸念する声が聞かれ始めていた(注)。EVドライブ連盟の発表によると、既に7月の段階でテスラの販売台数が上限を超えたほか、10月にはGMが19万6,986万台、日産が12万5,747万台外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに達している。

また同連盟は、上限が新規参入メーカーのシェア争いに有利に働くことを阻止したい考えだ。2019年に全車電動化計画を打ち出すボルボは、2018年にサウスカロライナ州に設立した新工場でプラグインハイブリッド車を生産するほか、2020年には中国メーカーのバイトンが、米国で人気車種のスポーツ用多目的車(SUV)のEVの販売を開始するとも報じられている(ハイブリッドカー・ドット・コム2018年1月8日)。同連盟の広報担当トレバー・フランシス氏は、バッテリーの改善など、EVの基礎技術の発展に貢献してきたが、米国のEV市場はまだ持続可能ではないと述べ、「税制控除を改革しないことは、世界市場で競争する米国の能力を著しく阻害するだろう」と改革を訴えた。さらに同氏は、約30万人の雇用へ影響する点も強調した。GMの公共政策担当バイスプレジデントのダン・タートン氏は「EVを全ての消費者にとってより手頃なものにする連邦税額控除制度は、ゼロエミッションの達成と米国がEVのリーダーとして確固とした地位を築くためには不可欠だ」と強調した。

(注)内国歳入庁(IRS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2009年12月31日より後のEV販売台数が20万台に達した場合、暦上での翌四半期の控除額は100%で据え置かれるが、その後の6カ月間は50%に、次の6カ月間は25%に削減され、以降は0%となる。テスラの場合、2020年1月の販売分から控除適用外外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなる。

(大原典子)

(米国)

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