離脱交渉の暫定合意に英漁業団体は懸念表明

(英国)

ロンドン発

2018年11月16日

11月13日に英国とEUが離脱交渉の暫定合意に達したとの報道を受け、英国内では翌14日に複数の産業団体が声明を発表した。

○化学工業協会(CIA)スティーブ・エリオット会長:18カ月におよぶ交渉の末、英国とEUが合意文書にたどり着けたことは喜ばしい。(合意文書の)内容の詳細は分からないが、大いに明確さをもたらす、未来に向けたシグナルであることに期待している。近く政府と会合を持ち、化学業界の関心を反映したEUとの将来関係の重要性について下院・上院と議論していく。

〇北アイルランド小売業組合(NIRC)アオドハン・コノリー事務局長:EUからの離脱日が近づき、明確さを早急に必要とする北アイルランドの小売業にとっては、交渉の前進は歓迎すべきこと。消費者が価格高騰や日用品が手に入らなくなる事態に直面するクリフエッジを避けることは不可欠。離脱合意については、(現在のような)シームレスな取引が移行期間中も保護されているかを確認する必要がある。もしバックストップがないのであれば、デリバリーの遅れの原因となる通関などの管理が最小限となるかを確認しなければならない。

内容の精査の必要性はあるが、暫定合意を一定の前進と見なすコメントを出す団体が多い中、漁業団体は懸念を表明した。また、11月14日の閣議では、スコットランド系議員らが漁業権の保護を求めた。

〇スコットランド漁業者連盟(SFF)バーティー・アームストロング事務局長:スコットランドの議員が、英国の漁業権に関する十分かつ実効的な主権を損ねる暫定離脱協定案の内容を支持できないとして(閣議に)干渉したことを歓迎する。われわれはこれまでの2年間、唯一納得のいく道筋は、英国が自らの水域で誰が、いつ、どこで、何を獲るのか決定できることだと言い続けてきた。首相はわれわれの業界に一連の約束をしているが、それが十分に達成されないことは合意なき離脱(ノー・ディール)をより魅力的な選択肢にすることを意味する。

(木下裕之)

(英国)

ビジネス短信 0270794b035316cd