2019年政府予算法案、減税路線を継続
(フランス)
パリ発
2018年10月02日
ブルノ・ルメール経済・財務相は9月24日、2019年のフランス政府予算法案を発表した。「財政運営には安定性と透明性が必要」とし、2019年政府予算法案は「(企業活動の活性化に向け)資産税などの減税を盛り込んだ2018年の予算編成路線を継続し、加速するものと位置付けられた。その上で、同氏は「フランスの繁栄は、さらなる財政支出と増税ではなく、企業と国民による付加価値の増大によるものでなければならない」と述べ、2019年予算法案は労働者の就労意欲を促進し、未来に向けた企業投資を拡大することを狙いに編成されたことを強調した。
就労支援については、不労所得を含む全ての収入にかかる一般社会税(CSG)の増税を財源にした失業保険料・健康保険料の従業員負担分を廃止することによって、給与所得者の手取り収入を増やす。また、2019年9月からの、残業手当にかかる社会保険料の従業員負担分の減免などを盛り込んだ。
ルメール経済・財務相は、「イノベーションが繁栄のカギを握る」「企業はデジタル化、ロボット化の遅れを取り戻す必要がある」とし、未来に向けた投資を促進するため企業向け減税を継続する必要性を説いた。具体的には、法定最低賃金2.5倍以下の給与総額を法人税から税額控除する「競争力・雇用税額控除(CICE)」を2019年に廃止し、法定最低賃金2.5倍以下の給与にかかる社会保険料の軽減措置として恒久化する措置や、2018年予算法で定めた、2022年までの法人税の段階的軽減(33.33%→25%)の実施などが柱となる。2019年の税負担(ネット)は家計向けが60億ユーロ、企業向けが188億ユーロ軽減されることになる。
政府は、予算編成の前提となる2019年の実質GDP成長率を2018年と同じ1.7%と設定し、2017年と比べると減速するものの、ルメール氏は、「過去10年の中で最も底堅い」とする(表参照)。他方、財政赤字はGDP比2.8%と2018年の2.6%から上昇する見通しだが、財政再建なしに持続的な経済成長はない、との姿勢を強調した。歳出削減努力を続けることで、財政赤字は2020年以降に改善に転じ、マクロン大統領の就任期間が終了する2022年には財政赤字比率を0.3%まで引き下げる目標を達成するとした。
(山崎あき)
(フランス)
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