老舗小売り大手シアーズ、破産法第11章の適用申請

(米国)

ニューヨーク発

2018年10月23日

米百貨店「シアーズ」やディスカウントストア「Kマート」を傘下に持つ米小売り大手シアーズ・ホールディングス(本社:イリノイ州ホフマンエステーツ)は10月15日、米国連邦破産法第11章(Chapter11、日本における民事再生法)の適用を申請した。同社は引き続き事業を行う方針を発表し、年末商戦に向けて黒字の店舗は閉鎖せずに通販サイトの運営を続けるとともに、閉鎖する店舗の計画を明らかにした。プレスリリースによると、約800店舗のうち2018年末までに、閉鎖を発表していた46店舗に加え、142店舗を閉鎖するという。

デジタル化の普及、消費行動の変化により、米国では小売業の再編が急展開しており、大手百貨店を含めた小売業者はさまざまな取り組みを進める中、ネット通販に対抗できる強みが企業の将来性を左右する。シアーズは1893年に創業した米国を代表する老舗小売業者だったものの、アマゾンなどのオンラインブランドに加え、店舗の近代化に必要な投資をせず、破産への道をたどることになった。

シアーズの最高経営責任者(CEO)エディ・ランパート氏は辞任を発表したものの、取締役会の会長職にとどまる。同社のプレスリリースでは、連邦破産法を申請することで、「債権者やその他社債保有者の方々とともに、できるだけ効率的に(会社の)包括的再生を果たし、われわれの戦略と優先事項を追求できる状態にすることが目標」とし、これにより「会社のバランスシートを強化する柔軟性を持ち、会社の戦略的な変革、継続的な事業体制の適正化を実現することで、収益性を回復させる」と述べた。

シアーズは1990年代以来、ディスカウントストアの急成長や老舗百貨店での客足減少などを受けて業績不振が続いており、これまでも破産法適用申請の可能性が示唆されていた。企業のブランディングやデザインを手掛ける米ランドーのコンシューマーブランドのグローバル・プレジデントであるメアリー・ザラ氏は、アマゾンや他の競合に対抗できるオンラインブランドを確立できなかったことが経営破綻の理由と指摘。「他の通販サイトとの差別化が実現できないのであれば、実店舗や店舗での顧客体験に投資する必要があるが、それも実現できなかった」と述べた(アドウィーク10月11日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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