欧州議会環境委、トラックなどのCO2排出削減強化案を採択

(EU)

ブリュッセル発

2018年10月26日

欧州議会の環境委員会は10月18日、トラックやバスなど大型商用車から排出される二酸化炭素(CO2)を2030年までに35%削減(2019年比)する修正案を採択した。修正案の成立には欧州議会本会議とEU理事会(閣僚理事会)での審議、採択が必要だが、それに先立ち欧州自動車工業会(ACEA)は同日、強い懸念を表明する声明を発表した。

この法案は、欧州委員会の政策指針「前進する欧州」(2017年5月31日発表、関連ブラック ジャック ルール)に基づき、2018年5月17日に発表された。原案では、大型商用車から排出されるCO2を2030年までに2019年の水準から30%削減するとしていたが、欧州議会の環境委員会は削減幅を35%まで引き上げ、2025年までの削減の中間目標を15%から20%に修正した。また、同委員会は特に都市交通に新たに導入されるバスについて、ゼロ排出車の割合を2025年までに50%、2030年までに75%とすることも盛り込んだ。同委員会としては、依然として増加傾向にある交通分野におけるCO2排出の削減を強化するとともに、急速に発展する電気自動車分野における産業競争力の優位を確立する意向だ。

しかし、ACEAのエリック・ヨナー事務局長は声明で、修正案は「大問題」だと指摘した。2025年に販売されるトラックは既に開発中だとして「トラック市場の現実や複雑さ、大型商用車の長期にわたる開発サイクルを考慮していない」と批判。さらに、長距離トラックなどの大型商用車の電化の潜在性が乗用車よりもはるかに未熟であることを考慮しておらず、高速道路の周囲などでは充電インフラも整備されていないとした。

この修正案は、2018年11月に欧州議会本会議で審議、採択される予定だが、採択された場合も、その後のEU理事会での審議では、自国の自動車産業や運輸産業への影響を懸念する一部加盟国からの強い反発が予想されている。

(村岡有)

(EU)

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