国庫・財務省の新インフレ抑制策に分かれる評価
(トルコ)
イスタンブール発
2018年10月18日
ベラト・アルバイラク国庫・財務相は10月9日、急騰するインフレを抑えるため「インフレとの戦い」計画と称する新インフレ対策を発表した。同計画の具体的な内容は以下のとおり。
- トルコの民間企業が自発的に製品の価格を10%以上値下げする3カ月間のキャンペーンを実施する
- 銀行が8月1日以降に貸し出した高金利融資の金利を10%割り引く(例:40→36%)
- 民間企業のリラ建て融資に対して政府が最大14%の金利支援を提供する
- 2018年末まで電気・ガス料金を引き上げない
- 35種類の肥料、灌漑関連品の価格を10%引き下げることなどで農業生産を支援する
- 小売り大手のカルフール、BIM、Sok、ミグロス、メトロは今後2カ月間、50製品を対象に価格を10%引き下げる
- 政府は2018年末までに付加価値税還付金の半分〔1,500万トルコ・リラ(約3億円、1リラ=約20円)相当〕を民間企業に前倒しで支払う
アルバイラク国庫・財務相は「8月と9月にインフレの元凶となる投機的攻撃が行われた」と非難し、投機、買い占め・売り惜しみに関わっている企業が利益を得ることは容認できない、と強調した。
トルコの諸経済団体は政府の「インフレとの戦い」を支持することを表明しているが、専門家らの評価は厳しく、このような一時的な方法で物価を抑制させることは間違っており、トルコ・リラの価値を引き上げるための根本的な方策などが必要だと指摘している。他方、企業側からは、一時的にせよインフレを抑制させることができれば、2019年初に予定されている最低賃金の改定に影響を与え、人件費の圧縮圧力が弱まると、前向きに評価する向きもある。
(中島敏博)
(トルコ)
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