ヘッセン州議会選で与党CDU大敗、メルケル氏は党首を辞任

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2018年10月30日

ドイツ中部ヘッセン州で10月28日、議会選挙が行われ、メルケル首相率いる与党キリスト教民主同盟(CDU)は、27.0%の得票率にとどまる大敗を喫した。国政レベルで連立政権を組む中道左派の社会民主党(SPD)も得票率が19.8%に落ち込んだ。選挙後、メルケル首相はCDU党首を辞任すると発表、また次回首相選には立候補しないことを明らかにした。メルケル首相の指導力低下による国政およびEUレベルでの影響は避けられない状況だ。

CDUとSPDは、10月14日に行われたバイエルン州議会選挙でも大敗しており(2018年10月16日記事参照)、事前の選挙予測でも苦戦が報じられていた。

今回の選挙の投票率は67.3%で、前回から5.9ポイント減少した。得票率を政党別にみると、CDUは前回選挙から11.3ポイント減で27.0%まで落ち込み、1970年代以降、最も低い水準となった(表1参照)。また、過去には同州で過半数近い得票率を得るなど強い選挙地盤を持つSPDも19.8%と前回から10.9ポイント減らし、戦後最低の得票率となった。一方、州レベルでCDUと連立政権を組む環境政党の緑の党(Grüne)は前回から8.7ポイント増やし、19.8%と大きく伸長。また、前回は議席獲得に必要な5%に達しなかったポピュリズム政党のドイツのための選択肢(AfD)も、前回から9.0ポイント増の13.1%の得票率を獲得し、ヘッセン州の第4党に躍進するとともに、連邦16州全ての州議会で議席を有するに至った。なお、リベラル政党の自由民主党(FDP)は2.5ポイント増の7.5%、左派党(Die Linke)は1.1ポイント増の6.3%だった。

表1 ヘッセン州選挙の政党別得票率(速報値)

議席数を政党別にみると、CDUは40議席となった(表2参照)。今後、他の政党との連立政権樹立に向けた交渉を開始することになるが、緑の党とSPDがそれぞれ29議席を獲得していることから、CDUはいずれかの政党との連立に合意すれば、議席の過半数を辛うじて上回る。そのほか、AfDが19議席、FDPは11議席、左派党は9議席となった。

表2 ヘッセン州議会の政党別議席数

なお、選挙方式は小選挙区比例代表併用制。比例代表選挙での得票数によって政党の議席数が決まるが、各党に配分された議席数を上回る小選挙区当選者がいた場合は、その分だけ全体の定数を増やす(超過議席)ことが認められているため、当選者数が定数を上回ることがある。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ)

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