マニエッティ・マレリ、カルソニックカンセイと事業統合へ
(イタリア)
ミラノ発
2018年10月30日
フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)グループは10月22日、傘下の自動車部品メーカーのマニエッティ・マレリをカルソニックカンセイの持ち株会社CKホールディングスに売却すると発表した。カルソニックカンセイは2017年3月に米の投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に買収されており、マニエッティ・マレリもKKR傘下に入る。
発表によると、売却価格は62億ユーロで、CKホールディングスは、マニエッティ・マレリCKホールディングスと名称を変え、カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリの事業を統合、年間売上高152億ユーロの世界で10位に入る独立系自動車部品メーカーとなる。新会社の社長にはカルソニックカンセイ社長のベダ・ボルゼニウス氏が就任、イタリアでの雇用とFCAとの契約は引き続き維持される。手続きの完了は2019年上半期を予定している。
FCA会長は雇用、社名維持を主張
マニエッティ・マレリは、1919年にフィアットと自動車部品メーカーのエルコレ・マレリの合弁会社として誕生、1967年に完全にフィアット傘下となった。その後、フィアットと米国のクライスラーの合併によって2014年10月からはFCAグループに属していた。
交渉においてFCAグループのジョン・エルカン会長は、特に雇用の保証、マニエッティ・マレリの社名の維持、新会社との契約など従来の合意の継続を要求していたとメディアは報じている(「イル・ソーレ24オーレ」紙10月23日)。マニエッティ・マレリの労働組合は、イタリアでの雇用が保持されたことを評価する一方、今後の経営計画は公表されていないため、経営陣との対話を要求しているという。
FCAのエルカン会長らは9月12日、セルジョ・マッタレッラ大統領、ジュゼッペ・コンテ首相、ルイジ・ディ・マイオ経済開発相兼労働・社会政策相(副首相)らに売却に関わる諸状況を説明、10月30日にも経済開発省で新たに会合がもたれる予定だ。マッテオ・サルビーニ内相(副首相)は「工場が閉鎖されず、他国に工場が移転されない限りイタリアにとって問題ない」としている。ディ・マイオ経済開発相は「経過を観察している」とする一方、カルロ・カレンダ前経済開発相は「技術流出の危険性、競争力を失う可能性がある」とコメントしている。
(佐野さつき)
(イタリア)
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