安全保障に関わる分野への外資参入を規制へ

(ハンガリー)

ブダペスト発

2018年10月29日

ハンガリー国会は10月2日、安全保障上懸念のある外国からの投資を規制する法案を可決、同月10日にアーデル・ヤーノシュ大統領が同法案を承認した。2019年1月1日に発効する予定だ。2018年末までに行われる投資には適用されない。運用方法など詳しい内容はあらためて発表されるが、概要は次のとおり。

対象となる主な投資分野は、(1)武器製造、(2)軍事装備の開発、(3)特定分野の金融サービスや支払いシステム、(4)電力や天然ガス、水道などの公共サービス関連事業、(5)電気通信、(6)政府関係の電子21 トランプシステム(設置や開発、運用)となっている。

規制の対象となるのは、欧州経済領域(EEA:EU加盟国、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインおよびスイス)以外の国に所在し、ハンガリーの上場会社に10%以上もしくは有限会社などに25%以上の資本参加を直接的・間接的にしようとする企業だ。

該当する外国企業は、支店開設も含めた進出、企業買収や資本参加に係る取引について書面で監督官庁に申請することが求められる。

申請を受けた監督官庁は、当該企業活動がハンガリーの安全保障上問題ないか調査を行い、申請後30日以内に可否の判断を下すとしている。なお、実態を伴わない投資や恒久的な経済活動と見なされない投資などは受理されない見込みだ。

当該法案を国会に提出した内務省幹部は6月、国家経済や国民生活に影響する分野への外国企業の投資管理は、国家利益のために必要と話した。また、ピンテール・シャーンドール内務相は10月、「西欧では同様の制度が既に導入され、ハンガリーでもようやく安全保障に係る外国企業規制が導入されることを歓迎する」とコメントしたことをメディアが伝えている。

ハンガリーに進出している日系企業の数は160、うち53社が製造業だ(ジェトロ・ブダペスト事務所2018年7~9月調べ)。当地でインフラ関連事業を展開する日系企業は限定的だが、今後、金融システムやインフラ、電気通信など対象分野での新規投資、企業買収を検討する際は、規制の適用の有無などの事前確認が必要だ。

(本田雅英、バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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