「ノー・ディール」に備える3度目の追加文書を発表
(英国)
ロンドン発
2018年10月16日
英国政府は10月12日、合意なくEUから離脱する「ノー・ディール」に備えたガイダンスの28の追加文書を発表した(表参照)。8月23日(関連ブラック ジャック ブラック)の公表に始まり、9月13日(2018年9月18日記事参照)、9月24日()に続く3度目の追加で、ガイダンスは合計104文書に上る。政府は、EUとの交渉は合意に達すると確信しているものの、あらゆる可能性に備えるための文書、と位置付けている。
「輸出入」の「既存の自由貿易協定」では、ノー・ディールの際は移行期間なくEUの第三国との発効済みの貿易協定から外れることから、英国は第三国との2国間協定をEU離脱の日もしくはできるだけ早期の発効を目指し、その内容は可能な限りEUの協定や第三国に対する特恵措置と同様にする。ただし、EU離脱日から新協定発効までは、WTOの最恵国待遇に基づく関税が適用されることになり、その場合政府は離脱日までに英国の最恵国待遇の実行関税率表を公表する。
「ラベリング製品および安全性」の「化学品の分類、表示、包装の規則(CLP規則)」では、独自に独立した化学物質制度を設立し、離脱日から国際標準である「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」と調和させる。英国の分類、表示制度はEUに基づくものとすることでビジネスの継続性を確保する。管轄機関は欧州化学品庁(ECHA)から英国安全衛生庁(HSE)に移るが、CLPの大部分は継続して英国で適用され、製造業者や輸入業者、川下ユーザーは英国市場で上市する物質や混合物の分類、表示、包装の義務を引き続き負う。
「ビジネス規制」の「EUとの国境をまたぐ企業運営」では、政府は2018年EU離脱法により、現行の法律や規則を可能な限り適用し続ける規制体制を維持する。なお、EU域外の第三国から英国で支店を運営する企業にとっては実質的な変更はない。
今回の追加文書について英国商工会議所(BCC)は、依然として多くの疑問があり、離脱日以降にどのような規制が適用されるかという不確実性が今後も残ることは、輸出入に携わる企業の成長基盤を弱める、との懸念を示した。
(鵜澤聡)
(英国)
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