上海協力機構加盟国、自国通貨による決済を促進
(ロシア、タジキスタン、中国、ベラルーシ)
欧州ロシアCIS課
2018年10月15日
タジキスタンの首都ドシャンベで10月12日、上海協力機構の第17回政府首脳評議会会合が開催された。幅広い分野で協力を推進する共同声明が採択されたほか、同機構の枠内で締結されている国際輸送協定へのベラルーシの参加が決定した。
同会合には正式加盟8カ国の政府首脳(カザフスタン、中国、キルギス、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタン)と外相(インド、パキスタン)が参加。同機構の2019年度予算を含む10の決定が採択されたほか、共同声明では輸送、エネルギー、金融、農業など経済分野、検疫、保険など社会分野など引き続き幅広い協力がうたわれた。貿易分野では貿易の課題に関する議論と多国間貿易の効率的なルール作りでWTOが果たす役割を評価。保護主義による一方的措置を許容せず開かれた貿易に向け協力を深化させるとしている。また、カザフスタン、キルギス、パキスタン、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタンは中国が掲げる「一帯一路」構想を支持し、ユーラシア経済連合(EEU)との連携が確認された。
ロシアのメドベージェフ首相は同会合で発言し、(米国の金融分野での対ロ制裁を念頭に)貿易決済に自国通貨を用いて対外的なリスクを減らすことが重要と強調。共同声明にも加盟国間での決済に自国通貨の使用拡大が明記された。また同機構オブザーバーであるベラルーシが「国際自動車輸送に関する上海協力機構(参加)国政府間協定」に加入することが決定。同協定は中国、キルギス、タジキスタン、カザフスタン、ロシアの特定幹線道路を経由する国際自動車輸送に関し、協定加盟各国が発行する書類、登録の相互利用を認めるもの(注)。ベラルーシが同協定に参加したことで特定幹線道路の対象区間が中国からロシアを経てベラルーシまで拡大することが想定され、(協定加盟国企業による)中国と欧州を結ぶ自動車輸送の利便性が高まる可能性がある。
次回の政府首脳評議会会合は2019年にウズベキスタンで開催される。
(注)現時点では、2020年までに全線での利用開始が予定されている(同協定付属書1)。
(高橋淳)
(ロシア、タジキスタン、中国、ベラルーシ)
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