米貿易政策の国内経済への影響は限定的、国立銀行が分析
(ベルギー)
ブリュッセル発
2018年10月16日
ベルギー国立銀行(NBB)は9月28日、9月の経済予測の一部として、米トランプ政権の貿易政策がベルギー経済に与える影響に関する分析を発表した。
ベルギーの金属および金属加工品(鉄鋼・アルミニウムを含む)の米国向け輸出額はベルギーのGDPの0.07%相当にすぎず、米国の鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税が国内経済に与える影響はかなり小さいものの、追加関税が関連産業とそのサプライチェーンに与える悪影響を過小評価すべきではない、とした。
また、米国と中国のサプライヤーとしてのベルギーに対する米中間貿易摩擦の影響も示した。ベルギーから中国に輸出される電気機器、コンピュータ、光学機器などを中心に、多くの品目が中国で加工され米国向けに輸出されており、ベルギーの輸出品のうち中国から米国に再輸出される額はベルギーのGDPの0.14%に相当する。一方、ベルギーから米国向けの輸出品がさらに中国に輸出される額はGDPの0.03%にすぎない。実際、ベルギーの対中輸出額は対米輸出額よりも少ないが、中国から米国への輸出が輸入を大きく上回ることを反映した結果だ。米国では輸入品は主に国内で消費され輸出される割合は小さい一方、中国では国際的なバリューチェーンで中間的な役割を果たし、輸入品の多くが輸出されている。
そして、米国の関税障壁や貿易相手国による報復措置は世界貿易の一部にすぎず、世界のマクロ経済に与える影響は限られるが、生産体制の再編にかかる費用や先行き不透明感の高まり、生産性に与える長期的な悪影響などには注意を払うべきとNBBは警告している。
経営者団体も貿易摩擦の回避求める
ベルギー企業連盟(FEB)は9月24日、保護主義と国際貿易をめぐる緊張の高まりに対するベルギー企業の懸念を発表した。FEBは、貿易摩擦では「ウィンウィン」の状態には決してならず、「EUと米国は、特に新しい技術分野で、国際基準の形成に向けて連携する必要がある」としている。
(大中登紀子)
(ベルギー)
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