輸出時の源泉税率が1.0%から0.6%に引き下げ

(バングラデシュ)

ダッカ発

2018年09月20日

バングラデシュ国家歳入庁(NBR)は9月6日、輸出時にかかる源泉税の税率を予算案発表時の1.0%から0.6%に引き下げる通達(SRO)を出した。この税率は2018年7月1日に遡及(そきゅう)して適用され、2019年6月30日まで有効だ。

源泉税はバングラデシュの税収の一部を支えており、今回の減税により2018/2019年度(2018年7月1日~2019年6月30日)の予算案で定めた歳入額を達成できない可能性を指摘する声もある。NBRの税政策を担当するカノン・クマール・ロイ理事はメディアの取材に対し、「バングラデシュの輸出額は年々増加しており、輸出額の伸びにより相殺できる」と回答している。

この源泉税は、輸出額(FOB)に対して同税率分が取引銀行で自動的に徴収される仕組みになっている。既に1.0%で納税した企業は取引銀行に相談すれば、今後の源泉税を減額調整できる。最終的には、この源泉税を法人税から控除して納税することができる。輸出加工型の工場を経営する企業の場合は、源泉税は法人税を上回ることが一般的だが、差額の還付はない。さらに輸出加工区、経済特区などの工業団地に進出した場合、法人税の免税期間が設定されているが、源泉税は免税期間にかかわらず徴収されるため注意が必要だ。

バングラデシュの税制度は頻繁に変更されることが多く、源泉税はその象徴ともいえる。2017/2018年度も予算案時点では1.0%だった税率が、バングラデシュ縫製品製造輸出組合(BGMEA)などの働き掛けにより0.7%に変更された。特に2018年は、年末年始に総選挙を控えており、選挙戦を見据えた政府の思惑も見え隠れする。引き下げ自体は歓迎されるべきだが、そのたびにバングラデシュの日系企業は事業計画を変更する必要があり、負担も大きくなっている。

(古賀大幹)

(バングラデシュ)

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