日米欧3極貿易相会合、WTO改革の共同提案で合意

(米国、日本、EU)

ニューヨーク発

2018年09月27日

第4回日米欧3極貿易相会合が9月25日、ニューヨークのジェトロ事務所で開催された。世耕弘成経済産業相が議長を務め、米国のロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表、欧州委のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)と協議を行った。第3回会合で合意した補助金ルール、強制技術移転、市場志向条件(market-oriented conditions)について議論を深め、「三極貿易大臣会合共同声明」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

補助金ルールについては、「企業の信用と両立しない国有企業による貸し出し」や「政府または政府の支配下にある非商業的な投資ファンドによる出資」などの市場歪曲(わいきょく)的な措置に対するルール構築の方法などについて、共通理解を深める必要性に合意した。また、3閣僚は補助金規律に係る交渉開始に向けた国内の必要な諸手順を2018年末までに進める意思を表明した。

投資先の第三国による強制技術移転については、有害な政策や措置を阻止するための方法と、実効性やルール化の議論をさらに深めていくことを確認した。市場志向条件についても、実効性やルール化の議論を進めることや、第三国の非市場志向の政策と措置に対するハイパーブラックジャック共有を強化するよう事務方に指示した。

補助金の通報ルールについてWTOに共同提案

WTO改革に関する文言が共同声明に盛り込まれたことも注目される。世耕経産相はWTO改革について、「着手可能な論点から有志国によって議論を開始するという基本的な考え方を共有した」と述べた。こうした動きの第一歩として、11月にジュネーブで行われる次回のWTO物品理事会において、補助金の通報ルール(注)に関する共同提案を3極で行うことで合意した。世耕経産相はまた、「米国も含めてWTOルールに基づいた多角的貿易体制の強化に一緒に取り組んでいくことが一番重要だ。こうした取り組みこそが2国間の貿易紛争の抑止・回避にもつながると考えている」と今回の合意の意義を語った。

共同声明はさらに、デジタル貿易分野のルール強化に向けたWTOルールのアップデートに関して、メンバー間で理解を深めるプロセスの加速化についての合意も記載しており、「高いレベルの合意に向け、可能な限り多くのメンバーとなるべく早い段階での交渉入りのための作業を継続する」としている。

(注)WTOの「補助金および相殺措置に関する協定」の第7部は加盟国に補助金の通報義務を課しているが、同ルールは十分に順守されていない。3極は、通報を怠ることにより加盟国に生じるコストを高めることで、加盟国に同規定の順守を促す方策を検討している。

(鈴木敦)

(米国、日本、EU)

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