個人所得税法が7年ぶりに改正、総合所得への課税に
(中国)
広州発
2018年09月13日
全国人民代表大会(国会に相当)は8月31日、「中華人民共和国個人所得税法の改正に関する決定」(主席令第9号)を発表した。2011年以来の改正。2019年1月1日から施行される。
これまで個人所得は11種類に分類され、賃金・給与所得および個人事業主の生産・経営所得、企業・組織の経営請負・経営リース所得について、3~45%の超過累進税率(注1)が適用されていた。
今回の改正により所得は(1)賃金・給与所得、(2)労務報酬所得、(3)原稿料所得、(4)特許権使用料所得、(5)経営所得、(6)利息、株式配当、(7)財産賃貸所得、(8)財産譲渡所得、(9)一時所得の9分類となり、(1)~(4)を合計した「総合所得」および(5)経営所得について超過累進税率が適用される。(6)~(9)は20%の税率が適用される。
総合所得の税率は、改正前の賃金・給与所得と同じく7段階に分かれているが、課税所得額は月額1,500元以下から8万元超(約2万4,000円~約128万円、1元=約16円)だったのが、月額3,000元以下から8万元超(注2)に変更される(表1参照)。
子女教育費などが控除の対象に
居住者について、費用控除額は月3,500元から月5,000元(注3)に変更される(表2参照)。また、子女教育費、医療費、住宅ローン金利、住宅家賃、高齢者扶養支出を控除する特定項目付加控除が新設された。特定項目付加控除申請に関する必要書類などは、別途定められる予定。
非居住者については、賃金・給与所得について月5,000元の控除が認められる。
今回の改正による居住者の総合所得課税額算出式は以下のとおり。
- 総合所得-基礎控除-特定項目控除-特定項目付加控除-その他国が定める控除=課税所得
- 課税所得×超過累進税率-速算控除=課税額
なお、2018年10月1日~12月31日は賃金・給与所得について、基礎控除を月5,000元とし、特定項目控除およびその他法律に基づく控除を行い、新たな税率で納税額を算出する。
(注1)累進税率の1つで、課税標準が一定額以上となった場合、その超過分に対してより高い税率が適用される。
(注2)個人所得税法では年額3万6,000元以下から96万元超とされているものを月額換算。
(注3)個人所得税法では年額6万元とされているものを月額換算。
(河野円洋)
(中国)
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