5党連立のシャーレツ中道左派政権が発足

(スロベニア)

ウィーン発

2018年09月25日

スロベニア議会は9月13日、マリャン・シャーレツ首相が率いる中道左派内閣を承認し、シャーレツ新政権が発足した。シャーレツ氏は40歳で、同国で最年少の首相となる。5党から成る連立与党が占める議席は43と、定数90の議会の過半数に満たず、史上初の少数派政権になった。

6月3日に行われた議会選挙(関連トランプ ゲーム ブラック)から約3カ月を経て、選挙で第2党となった新党のリスト・マリャン・シャーレツ党(LMS)のマリャン・シャーレツ党首が率いる連立内閣を議会が承認した。連立には、アレンカ・ブラトゥシェク元首相が立ち上げたアレンカ・ブラトゥシェク同盟(SAB)、ミロ・ツェラル前首相の現代中央党(SMC)、社会民主党(SD)および年金者党(DeSUS)が参加した。連立政権は43議席で過半数に満たないが、9議席を占める左翼連合(ZL)が少数派政権を容認し、9月13日の議会での内閣承認投票を棄権したことで、賛成が反対を上回った。

シャーレツ首相は40歳の元コメディアン

シャーレツ首相は1977年生まれの40歳で、リュブリャナ大学の演劇・ラジオ・映画・テレビ・アカデミー部を卒業後、コメディアンや俳優として人気を集めた。2010年には北部のカムニク市(人口3万人)の市長に当選し、2018年まで2期を務めた。2017年には大統領選挙の決選投票で得票率47.1%ながら、現職のボルト・パホル首相に敗れたが、全国的に脚光を浴びた。

議会選挙の第1党が組閣に失敗

2018年6月の議会選挙で第1党となったスロベニア民主党が組閣に失敗したため、パホル大統領がシャーレツ氏に組閣を委任していた。シャーレツ首相は国政レベルの政治経験がないが、新政権には、首相経験者2人、大臣経験者4人、副大臣経験者3人が入閣した。

シャーレツ政権にとっては、スロベニア中央銀行総裁の指名と同国最大の銀行NLBの民営化への対応が急務だ。中期的には、健康保険制度、年金制度や公共調達制度の改革が課題となっている。なお、対外関係では、シャーレツ首相は親EU的な立場を強調している。

ウィーン比較経済研究所(WIIW)のスロベニア専門家であるヘルミーネ・ビドビッチ氏は「5党から成る少数派政権の安定性を現時点で判断できないが、左派勢力の好意に依存するかたちとなっていることが失敗の種になり得る」とコメントしている。

(エッカート・デアシュミット)

(スロベニア)

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