新環境相にド・リュジ氏、路線は変わらず
(フランス)
パリ発
2018年09月11日
エマニュエル・マクロン大統領は9月4日、8月28日に辞任を表明したニコラ・ユロ環境移行・連帯相(国務相)の後任にフランソワ・ド・リュジ国民議会(下院)議長を任命した。ド・リュジ氏は2007年の国民議会選挙に環境派として立候補し、初当選。2017年の大統領選でマクロン氏を支持し、6月の国民議会選挙ではマクロン氏が立ち上げた共和国前進から立候補し、3期目の当選を果たした。
マクロン大統領は著名な環境運動家でありながら政治家としての実績を持たなかったユロ氏の後任に、現実路線の環境派として知られ、長年の政治経験を持つド・リュジ氏を据えることで政権運営の安定を求めたものとみられる。
ユロ前大臣は就任からの1年間で、2040年までに国内での炭化水素(石油、天然ガスなど)の探査および採掘の廃止、2040年にガソリン車・ディーゼル車の販売禁止、西部ノートルダムデランドに建設予定だった「ナント新国際空港」の計画中止など環境保全政策を実現させる一方、原発や環境に優しい農業への移行といった分野では経済効率や経済成長を重視する政府に譲歩を迫られることが多く、環境活動家としての不満や失望が辞任表明につながったとみられる。
ド・リュジ新大臣にとっては、エネルギーに占める原発依存度を現行の75%から50%に引き下げる縮減目標の期限設定(ユロ前大臣の時代に従来の2025年からの延期を決定)、廃炉が決まっているフッセンハイム原発の廃炉スケジュールの決定、再生可能エネルギーの導入拡大のほか、環境にやさしい交通・輸送手段への移行に向けた政策措置の導入などが、当初の政策課題となる。
また、9月4日に「私的な理由」で辞任を表明したローラ・フレセル前スポーツ相の後任には共和国前進のロクサナ・マラシネアヌ国民議会議員が任命された。
(山崎あき)
(フランス)
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