製造業の競争力向上を狙い原料・中間財などの関税を変更
(米国)
ニューヨーク発
2018年09月18日
9月13日に「2018年諸関税法(MTB:Miscellaneous Tariff Bill Act of 2018)」(HR.4318)がトランプ大統領による署名を受けて成立した。MTBは、米国製造業の競争力強化を目的として、米国で生産していない原料や中間財に対する関税を一時的に引き下げまたは撤廃する法律。2012年12月31日失効しており、全米製造業協会(NAM)などが更新を求めていた。
今回のMTBによる関税変更は1,662品目(HTSコード8桁ベース)を対象にしている。品目の内訳をみると、化学工業製品の割合が大きいが、食料、アパレル、電気製品など最終財を含む幅広い製品が含まれている(注)。今回の関税変更は、法案成立日30日後の10月13日から2020年末までに通関する製品に適用される。
なお、米国税関国境保護局(CBP)の8月21日付の通達によれば、MTBの対象品目であっても、1974年通商法301条に基づく対中関税賦課の対象品目については、追加関税が賦課される。
(注)具体的な対象品目は法律本文(HR.4318)を参照。なお、「2016年製造業競争力法」(2016年5月20日成立)によりMTBの対象品目の選定方法が変更され、企業は、MTBにより関税撤廃や削減を求める品目に関する申請書を米国際貿易委員会(USITC)に提出することが必要になった。USITCは、申請書に記載された品目が米国内で生産されていないかなどを審査した上で、下院歳入委員会と上院財政委員会に報告書を提出する。下院歳入委員会は同報告書を基に対象品目を決定し、MTB案を作成する。次回の申請書の受け付けは、2019年10月15日までに実施される予定。申請手続きの詳細は、USITCのウェブサイトを参照。
(鈴木敦)
(米国)
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