カニ漁獲枠割当にオークション制を本格導入へ

(ロシア)

モスクワ発

2018年09月10日

ロシア政府は8月24日、経済分野における競争発展ロードマップ(2018年8月16日付連邦政府指示第1697-r号)を公表した。同文書はメドベージェフ首相によって8月16日に承認され、これまで懸案だったカニの漁獲枠の割当について方針が明記された。ロードマップによると、これまで過去の実績を踏まえて配分されていた漁獲枠のうち半分を、電子オークションを通じて配分すると規定された。オークションは3~5年ごとの実施が検討されている。農業省、連邦漁業庁、連邦反独占局が、漁業への参入条件を整備し、オークション導入のための法案を2018年から2019年にかけて整備する。

ロシア政府がカニ漁獲枠割当にオークションを本格的に導入する案が2017年11月に明るみになり、業界に波紋を広げていた。オークション導入が検討されている背景には、プーチン大統領宛てに送られたオークション制導入を要請する書簡の存在がある(関連ブラック クイーン ブラック)。本書簡には、同大統領に近い、水産大手「ロシア漁業会社」を所有するグレブ・フランク氏が関与している、といわれている(「ベドモスチ」紙8月27日)。

連邦漁業庁は、オークション導入が800億ルーブル(約1,280億円、1ルーブル=約1.6円)の収入をもたらすと試算している。一方で、水産業界は、漁業会社の投資計画を狂わせる恐れがあると反発している。沿海地方のアンドレイ・タラセンコ知事代行も、7月にプーチン大統領と面会した際、オークション導入の影響で多くの企業が倒産し、失業者が出る恐れを伝えていた(「ベドモスチ」紙8月27日)。

現在でも、一部の漁獲枠をオークションで配分している。しかし、オークションの対象は、枠を割り当てられた企業が自主的に政府に枠を返納したか、何らかの理由で使用しなかった分に限られている。

(タギール・フジヤトフ)

(ロシア)

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