アナクリアの大型港湾建設事業が本格化
(ジョージア)
欧州ロシアCIS課
2018年09月25日
ジョージア西部の黒海に面したアナクリア地区で9月16日、新しく国際戦略港湾を建設する「アナクリア深海港」事業のしゅんせつ・外郭施設建設工事が開始された。同事業は同国で一大物流・インフラ事業と位置付けられており、多くの関係者から注目されている。
アナクリア深海港事業はジョージアの物流機能を強化するため、西部・黒海沿岸の既存港のポティ、バトゥーミ両港に次ぎ、大型船が入港できる第3の港湾を建設するもの(添付資料参照)。アナクリア港の建設は同国の憲法にも明記され、政府が支援するインフラ事業となっている。総事業費は25億ドルで、全体は9つのフェーズに分かれる。2017年12月に第1期工事がスタートしており、現在埋め立てや整地工事が進む。今回のしゅんせつ工事と防波堤などの外郭施設の建設が開始されたことで、工事が本格化する。第1期では航路・泊地の水深16メートル化、全長1.6キロの防波堤の建設、ドライ貨物用のバース1カ所とコンテナヤード2カ所が建設される。第1期工事が完了すると、(既存港では対応できない)パナマックス級と超パナマックス級(注)が寄港可能となり、年間150万トンのドライバルク(輸出用の肥料を想定)、100万TEU(20フィートコンテナ換算単位)の取り扱いが可能となる。また、港湾の後背地には特別経済区(SEZ)を設け、新産業を育成する。
同港建設の事業体「アナクリア開発コンソーシアム」のレバン・アフブェディアニ最高経営責任者(CEO)はジェトロのインタビューに対し、「(予定する)2020年12月の操業開始から逆算し、現時点で工事を開始した」と述べ、事業計画は順調に推移していることを強調した。一方、同港に接続する道路と鉄道の建設に関しては、工事の着手が遅れているとして、責任主体である政府に引き続き早期着工を求めていく方針を明らかにした。
同コンソーシアムと同SEZの開発を担う「アナクリア・シティ」は9月17日、アジア開発銀行(ADB)との間で覚書を調印した。3者はインフラ整備、人材育成、ファイナンス、貿易手続きの関連分野で協力を検討する。アナクリア・シティのケテバン・ボチョリシビリCEOはジェトロのインタビューに対し、同社はSEZのオペレーターや入居企業に日本企業の参画を強く望んでいると述べた。
(注)パナマ運河を通過できる大きさを超えた船舶。
(高橋淳)
(ジョージア)
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