輸入時の前払い所得税の税率引き上げ、9月13日から適用

(インドネシア)

ジャカルタ発

2018年09月11日

インドネシア財務省は9月6日、財務大臣規程2018年第110号を公布し、消費財1,147点に対する輸入時の前払い所得税(PPh22)の税率引き上げを決定した。税率は、完成車や大型バイクで7.5%から10.0%に、一部の電化製品、化粧品、調理器具などで2.5%から10.0%に、建築材料(セラミック)、タイヤ、オーディオ・映像機器、一部の繊維製品などで2.5%から7.5%に、それぞれ引き上げられた(表参照)。新たな税率は9月13日から適用される。

表 輸入時前払い所得税(PPh22)の主な引き上げ項目

インドネシアでは、輸入金額に対して、品目により原則2.5~10%の所得税の前納義務がある。前納した所得税は、年度決算を経て過払いとなった場合に還付請求できるが、還付請求すると税務調査が入るなど手続きが煩雑な上、還付までに半年~1年程度の時間を要するなど、企業にとって負担が大きい制度になっている。

報道によると、今回の税率引き上げは、輸入障壁を高めて消費財輸入を削減する狙いがある。これにより、インドネシアの貿易赤字削減や、通貨下支えにもつながり、経済ファンダメンタルを強固にするとされる()。財務省のプレスリリースによれば、これまでにも2013年12月と2015年6月に、輸入削減の目的で特定品目に対するPPh22の税率引き上げを実施したことがある。しかし、今回は対象品目(HSコード8桁ベース)が、1,000点を超える大規模な改定となった。

税率引き上げに当たり、インドネシア商工会議所(KADIN)や業界団体などから、企業活動への影響を懸念する声が出たため、対象品目の多くを国内で代替生産可能な消費財に絞った。しかし、税率が引き上げられた品目は幅広く、日本から輸出の多い完成車をみると、シリンダー容積が1500cc超の車種が含まれる。そのほか、タイヤ、ワイヤハーネス、潤滑油、化粧品、衛生用品、衣類など多様なことから、インドネシアで輸入を行う企業は取扱品目が対象になっていないか、確認することが望ましい。対象品目の一覧は、財務大臣規程2018年第110号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、HSコードごとに確認することが可能だ。

(山城武伸)

(インドネシア)

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