日独スタートアッププラットフォームが3会場で同時開催

(ドイツ)

ベルリン発

2018年09月28日

日本とドイツのスタートアップ、投資家、企業、大学、研究機関などをつなぐイベント「日独スタートアッププラットフォーム」が9月15日に、ベルリン、ドイツ西部のノルトライン・ウェストファーレン州のクレーフェルト、東京、の3会場において開催された。同イベントはテレビ会議により、3会場を中継するかたちで実施された。主催者によると、2回目となった今回は、3会場を合わせて300人超の参加者を集めた。

冒頭、日独両国大使から、日本とドイツの社会は少子高齢化など共通の課題を抱えており、その解決法として、人工知能(AI)、ロボット、工場と人のネットワークなどの技術の促進の重要性が指摘された。

写真 登壇するハンス・カール・フォン・ベアテルン駐日ドイツ大使(ジェトロ撮影)

同イベントでは、先行するスタートアップによる日独連携の事例も紹介された。ベルリンのフンボルト大学医学部付属シャリテー病院発スタートアップのモトグノシス(Motognosis)が日本の千葉大学病院と協力して、パーキンソン病患者の運動機能障害について自動的、かつ定量的な解析を可能とする診断法を共同で開発する事例や、日本の求人検索プラットフォームWantedlyが在日ドイツ人従業員を活用し、欧州に事業を拡大する事例などが、当事者から具体的に披露された。さらに、日本のスタートアップ投資家からは、都市部でレタスを栽培できる植物工場を提供するドイツのスタートアップのインファーム(Infarm)など、ドイツで既に2つのプロジェクトに投資することが明らかにされた。

写真 活発な質疑応答が行われた(ジェトロ撮影)

ドイツで人気が高まっている日本酒の企画・販売ビジネスで起業したバスティアン・シュバンガル博士は、ドイツでは日本酒のブランド名まで覚えている人はほとんどないこと、日本の酒の容量が大き過ぎてドイツ市場にとって高価となり過ぎることなどの問題を指摘、180ミリリットルのスクリューキャップの小さなボトルに、覚えやすい「Go SAKE」というブランド名を付けることにより、こうした課題に対応しているという。価格は5.50ユーロとし、ドイツで販売されている日本酒と比べ手頃な価格設定にしている。

写真 「Go SAKE」事業を説明するシュバンガル博士(ジェトロ撮影)

日本のスタートアップ投資家からは、ベルリンが持つ文化の多様性と、そこで育まれる国際的なスタートアップ育成の土壌を評価する声が上がった。

(増田仁)

(ドイツ)

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