中国ウーリンの新車販売が好調、低価格に注目
(インドネシア)
ジャカルタ発
2018年09月05日
インドネシアの自動車市場に徐々に中国ブランドが広がり始めた。8月23日に自動車製造業者協会(GAIKINNDO、ガイキンド)が発表した2018年1~7月の新車販売台数をみると、中国大手メーカーの上汽通用五菱汽車(ウーリン)が好調で、販売が本格化したのは2017年からながらもブランド別で9位となった(表参照)。インドネシア市場は日本車が97%超を占め、「日本の牙城」と呼ばれてきたが、中国メーカーの本格参入で変化が起きるのか注目される。
ウーリンによる自動車販売は2018年に本格化した。同社は2015年8月から西ジャワ州チカランのGIIC工業団地に年間生産能力12万台の組立工場を建設し、2017年7月にはユスフ・カラ副大統領臨席の下、開所式を行った。7人乗りの多目的車(MPV)「コンフェロ」と上位モデル「コルテス」の生産を開始し、初年度で約5,000台を販売した。2018年に入っても販売台数は順調に増加し、7月までに9,248台に達している。法人営業にも取り組み、7月には地元タクシー大手エクスプレスがコンフェロを150台導入した。ジャカルタ市内でもウーリン車をよく見かけるようになった。
地元紙によると、8月12日に閉幕したガイキンド・インドネシア・インターナショナル・モーターショー(GIIAS)でもウーリンの注目度は高かった。その理由の1つは価格競争力だ。同社ウェブサイトよると、コンフェロの価格は1億3,480万ルピア(約100万円、1ルピア=約0.0074円)からで、日系の同様の車種に比べて2割以上安くなっている。2019年にはスポーツ用多目的車(SUV)の投入も計画されている。
中国3大自動車メーカーの東風汽車もSUVの生産開始
中国3大メーカーと言われる東風汽車集団も、2017年11月に子会社の東風小康汽車(DFSK)を通じ、バンテン州セラン県でSUVの生産を開始した。開所式にはアイルランガ工業相が出席するなど、ウーリンとともにインドネシア政府の期待は高い。同社による2018年1~7月の販売台数はブランド別20位の465台にとどまるが、生産能力は年間5万台で、最新鋭の生産設備を導入している(2018年2月28日記事参照)。
(山城武伸)
(インドネシア)
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