湖南省で初の日中自動車部品商談会を開催
(中国)
武漢発
2018年09月28日
ジェトロは9月20日、長沙市内で湖南省では初となる「日中自動車部品商談会」を開催した。日本の自動車部品関連企業20社の出展に対し、中国側は200人を超える関係者が参加した。当日に行われた商談は17件、翌日(9月21日)時点での成約見込額は約8万ドルに達した。
外資・地場系メーカーとも増産傾向
商談会で講演した湖南省政府関係者は、2017年時点の省内の自動車の生産額は1,011億6,000万元(約1兆6,185億6,000万円、1元=約16円)、生産台数は約100万台で、2020年には省内の自動車生産能力は190万7,000台に達するとの見方を示した。この背景には、三菱自動車(広汽三菱)、フォルクスワーゲン(上海大衆)、フィアットクライスラー(広汽菲克)など、省内に生産拠点を有する外資系完成車メーカーと、北京汽車、吉利汽車、長豊汽車、BYDなど地場系メーカーの増産傾向がある。
増産の背景には、中国自動車市場の拡大のほか、生産拠点としての湖南省の地理的な優位性がある。内陸部の製造拠点にとって、最大の課題はスピーディーかつスムーズな物流ネットワークの構築だが、この点、湖南省は隣接する広東省を通じて外洋に比較的近いため、内陸部の中では比較的優位といえる。
長沙市から半径300キロ圏には武漢市と南昌市、800キロ圏には広州市、重慶市、鄭州市と中国有数の自動車生産拠点があり、これらの生産拠点とのネットワーク構築が可能だ。また、人件費が1,390元(湖南省湘譚市、2018年の月額最低賃金)と、広州市(2,100元、2018年の月額最低賃金)の約66%程度にとどまるなど、沿海部と比べて総じてコストが低いことも大きな魅力だ。このため、近年、ボッシュ、マグナ、シェフラー、エバスペッヒャーなど大手自動車部品企業の進出が相次いでいる。
商談会に出席した徐湘平湖南省商務庁長は「湖南省政府を代表して日本の自動車部品企業の進出を心から歓迎したい」とあいさつ。また、中国側から大手完成車メーカーのみならず、大手重機メーカーの中連重科、アップル向けサプライヤーとして知られる大手ガラスパネルメーカー藍思科技の購買担当幹部が参加するなど、高い技術力を持つ日本企業への期待の高さがうかがえた。
商談会で講演した吉利汽車の担当幹部は、2020年の目標生産・販売台数300万台のうち、新エネルギー車の比率を90%以上〔ハイブリッド車65%、電気自動車(EV)35%〕とする目標を明らかにしたように、参加した中国企業の関心はEVなど先端技術に集中。ハイテク技術を有する日系企業を中心に中国企業との商談が活発に行われた。
(古谷寿之)
(中国)
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