労働党大会、EUとの将来関係白書に党首は反対
(英国)
ロンドン発
2018年09月27日
最大野党の労働党は9月23~26日、イングランド北西部のリバプールで年次党大会を開催した。党としてEU離脱(ブレグジット)に関する国民投票の再実施を政府に求めるかどうかが注目され(2018年9月4日記事参照)、同党の影のEU離脱相キア・スターマー議員はその可能性を示唆したが、ジェレミー・コービン党首は明言を避け、総選挙実施の可能性に言及するにとどめた。
スターマー議員は、EUとの将来関係が強固であることや関税同盟・単一市場と同等の利益が得られるなど、労働党が2017年に設定した6つの条件をEUとの離脱合意が満たしていない限り、議会で反対票を投じるとした。また、「誰も(EU)残留が選択肢として残っていることを否定していない」とし、総選挙の実施が不可能となった場合は国民投票の再実施を含めたキャンペーンを行うとした。
もともと、国民投票への再実施に否定的だったコービン党首は、大会の締めくくりの演説で、労働党は2016年の国民投票の結果を尊重するとし、2回目の国民投票の実施やEU残留の可能性について明言を避けた。一方、合意なき離脱(ノー・ディール)や政府が公開したEUとの将来関係の白書には反対の姿勢を示し、議会でEUとの合意が否決されるか、政府がいかなる合意も達成できなかった場合は総選挙を求めるとした。党の要求は、ブレグジットにより権利や基準、保護などが変わらないこと、関税同盟・単一市場への残留、北アイルランドとアイルランド間にハードボーダーを設けないことなど、限りなく「ソフト」なブレグジットとなっている。そのほか、2050年までに国内の二酸化炭素排出をゼロにすることや、無料保育の対象を4歳以上から2歳以上に拡大することなどにも言及した。
調査会社ユーガブ(YouGov)が9月12~13日に実施した世論調査では、保守党の支持率が40%、労働党が36%で、労働党の支持率は2017年6月の総選挙以来、低下傾向にある。
(鵜澤聡)
(英国)
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