旧国鉄、日立レールイタリアからの車両調達に合意
(イタリア)
ミラノ発
2018年08月10日
フェロビエデッロスタート(FS、旧イタリア国鉄)は7月27日、中距離列車(注)用車両の調達について、新たに日立グループの日立レールイタリアと合意したことを発表した。合意内容は、70編成を最低発注量とし、さらにFS中核の鉄道運営会社トレニタリアが地域輸送の向上のための取り組みを継続的に実施することを確認するもので、日立レールイタリアへの追加発注の可能性もある。FSは2017~2026年の経営計画で、中距離列車用の車両への投資を表明しており、今回の調達もその一環に位置付けられる。
イタリアの中距離列車は、体の不自由な人に対するアクセシビリティーの低さ、顧客スペースの快適性の低さ、エネルギー効率性の低さなどさまざまな課題が指摘されており、老朽化した車両の置換や改修が求められている。2018年4月にはミラノを包含するロンバルディア州の地域鉄道会社であるトレノルドも、同社保有車両の3分の1に当たる700車両の改修・近代化を3年間で実施していくことを発表しており、都市内交通網や国内大都市間を結ぶ長距離列車に比べ、遅れ気味だった中距離列車の車両の改善に係る投資を各社が実施し始めている。
なお、日立レールイタリアは2016年8月に、トレニタリアから新型通勤車両の開発を受注した実績があり、2018年4月に最初の列車が完成し、テストが開始された。このプロジェクトでは、新型通勤列車の購入資金は環境債の発行で調達された。環境債は、環境対策に資する使途に用途を限定して発行される債券だ。
この新型通勤列車は、既存車両に比べてエネルギー効率を改善し、資材の95%をリサイクル可能なものとするなど環境負荷の低減が図られている。
(注)州内都市間や隣接州都市間を結ぶ列車。
(山内正史)
(イタリア)
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