政府、廃プラスチック輸入の規制を厳格化
(マレーシア)
クアラルンプール発
2018年08月01日
住宅・地方自治省は、マレーシア国内で廃プラスチック(HSコード:3915)の輸入を行う114の企業および工場に対して発行した輸入許可書(AP)を、7月23日から3カ月間停止すると同日に発表した。
環境汚染を懸念、APを3カ月停止
ズライダ・カマルディン住宅・地方自治相は「APは、新基準に基づいて再申請が必要」と述べた。廃プラスチックのAPは、2015年2月から住宅・地方自治省傘下の国家固形廃棄物管理局(NSWMD)が発行している。APの有効期限は1年間で、船積みごとに申請する必要がある(使い切り)。NSWMDによると、APの新たな申請基準の発表時期は未定としている(7月30日時点)。
カマルディン住宅・地方自治相の説明によれば、今回の措置は「セランゴール州クアラ・ランガットにおける深刻な環境汚染の原因が廃プラスチック処理工場だという報道を根拠としている」(「ザ・サン」紙7月24日)という。
マレーシアの廃プラスチック輸入は急増
マレーシア統計局によると、2018年1~4月における廃プラスチックの輸入額は9,024万ドルで前年同期比73.3%増加した。米国からが1,650万ドルと最も多く、8.9倍に増えた。次いで、英国が1,094万ドル(3.0倍)、日本が1,074万ドル(3.8倍)と続いた。2017年12月末から中国で施行された廃プラスチックを含む固形廃棄物の輸入禁止を受け(オンライン カジノ ブラック)、マレーシア向け輸出が急増したものとみられる。
日本からの輸入廃プラスチックのリサイクル事業を行う地場企業A社に対して、ジェトロが電話取材したところ、「APが停止されたため、工場が操業不能になっている」(A社担当者)と深刻な影響が聞かれた。マレーシア側だけでなく、日本側の輸出者にも大きな影響がありそうだ。
環境規制の強化に今後も注視を
今回の措置は廃プラスチックのみを対象としているが、環境汚染についての報道や他国における規制強化が発端となった。他の固形廃棄物に関しても同様、突然に規制が変更される可能性がある。2017年末には新環境保護法の策定が発表されるなど、マレーシア国内では環境への関心が高まっており、法規制の改正の動きに注意すべきだ。
(田中麻理)
(マレーシア)
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