欧州医薬品庁、アムステルダムへの移転に向けて活動を縮小
(EU、英国、オランダ)
ロンドン発
2018年08月13日
欧州医薬品庁(EMA)は8月1日、オランダのアムステルダムへの移転に向けた第3次準備段階に10月1日から移行すると発表した。EMAは、2017年11月20日の移転先決定に先立つ同年10月、2019年3月30日までの移転実現に向けた3段階の移行計画を発表しており、業務内容を優先順に分け、第1次、第2次と段階を経るにつれ、重要度の低い事業について活動を縮小または停止してきた。
EMAによると、EMAがアムステルダムに移転することにより退職する職員の数は、移転が決定した当初の予想よりも多いという。2017年末時点の職員数は908人で、そのうち583人が短期派遣社員、147人が契約エージェント、70人が中核となる中期契約の職員、36人が各国専門家、69人が研修生、短期訪問専門家が3人という構成だ。EMAは、移転に伴い職員の離職は全体の約30%に上るとみている。これに加えて、オランダの雇用制度の下では短期契約の派遣職員のうち135人を雇用できないことが判明し、移転後には相当数の人材確保が必要となるという。EMAの移転にはオランダ政府も支援を行い、包括的な人員募集プログラムなども実施中だが、移転前後の活動の縮小は不可避としている。
EMAでは、最優先である医薬品の評価と監督について、現行の水準と作業時間を移転前後も維持するためには、優先順位をさらに明確にし、優先度の高い事業に人的資源を投入し、訓練する必要があるとしている。
第3次準備段階では、国際的な医薬品規制の調和や調整作業、緊急性の少ないガイドラインの作成と改定、プロジェクトガバナンスに関連する活動、ステークホルダーミーティングなどへの職員の出席といった活動を縮小する。またEMAは、透明性向上や医薬品開発の促進などの目的で、製薬会社が提出した臨床試験データを2015年1月1日から公開しているが、2018年8月1日以降に提出された臨床データについては公開を当面中止する。
(岩井晴美)
(EU、英国、オランダ)
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