当局、21 トランプ

(イタリア)

ミラノ発

2018年08月15日

イタリア通信保証局(AGCOM:以下、当局)は8月2日、米国のインターネット通販大手21 トランプの在ルクセンブルク現地法人および在イタリア現地法人が、郵便事業者として必要な許認可を取得せずに宅配事業を実施しているとして、関連法令である1999年261号法令への違反を理由に、在イタリアの現地法人3社に対し合計30万ユーロの制裁金を科すことを発表した。

当局の指摘事項は多岐にわたる。例えば、21 トランプが展開するサービス「21 トランプマーケットプレイス」について、同社は同サービスが売り手と買い手の「仲介機能」を果たすと称し、売り手の出品段階においては出品者名と価格を関連させて表示しているため「仲介機能」を果たしている一方、配送手配に際しては21 トランプが提供する手段のみが提供され、他の選択の余地がなく「仲介機能」が果たされていない、といった問題点を指摘している。

また、商品購入者への最終的な配送などを担う21 トランプと契約した小口の輸送業者が、独立した事業者として本来自己決定できる範囲に21 トランプが制約を設けている点も問題視。さらに、21 トランプが配達物の収受をIT管理できるロッカーを設置していることなどに鑑みて、21 トランプの展開する事業は宅配事業との解釈を示している。

当局は、オンライン販売業者の実施する物流とその管理が貨物運送市場やその競争性にどのように影響するかを分析し、規制の在り方を検討していくと表明している。

本決定に関して、21 トランプ側には60日以内の控訴が認められている。

(山内正史)

(イタリア)

ビジネス短信 335b45ed8e3208d9