9月導入予定のSSTをセミナーで解説

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年08月20日

ジェトロは8月6日にクアラルンプールでセミナーを開催し、英国系会計事務所ラッセルベッドフォードマレーシアの加藤芳之マネジングダイレクターが、9月1日から導入予定の売上税・サービス税(SST)の最新動向を以下のように解説した(添付資料参照)。

物品・サービス税(GST)が各流通段階で課税される多段階方式であるのに対し、SSTは一段階方式である点が大きく異なる。売上税は、製造業者が卸売業者に販売する時点、または卸売業者などが課税対象品を輸入する時点で1回課税される。サービス税は、特定サービスの事業者が課税対象サービスを提供する時点で課税される。GSTは日本の消費税と同様に、最終的な税の負担者は消費者となる一方、SSTを納税するのは事業者になる。

SST導入をもって廃止されるGSTは、2018年12月29日が最後の申告期限となる。SSTの導入準備のため税関の対応が遅れており、GSTの還付対象となる取引がある企業は、還付の遅延リスクを懸念している。GSTからSSTへの移行期間の取り扱いについては、税関の「よくある質問(FAQ、売上税PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)サービス税PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))」で公開されている。

納税遅延のペナルティーが厳格に

新しいSSTでは、納付遅延にかかるペナルティーが未払い税額に対して40%(最大時)と厳格化されており、企業各社においては、自社の事業活動や既存取引が課税対象となるか確認が必要だ。GSTと同様、課税対象の物品またはサービスの年間売上高が50万リンギ(約1,350万円、1リンギ=約27円)以上の場合は登録対象事業者となる。既にGST登録事業者である企業は、税関により自動的にSST登録事業者として登録される。ただし、自動登録されていない場合に備え、8月中旬ごろまでに税関からSST登録番号の通知がない場合は、自発的に事前申請した方が賢明だ(売上税・サービス税(SST)の専用ポータルカード)。

SSTは一段階課税のため、二重課税を防ぐための免税措置が多数設けられている。製造業者間の取引、自由貿易地域(FZ)などに立地する企業間取引などが代表的だ。

なお、加藤マネジングダイレクターによると、SSTは8月6日時点で国会で審議中なので、細部は変更される可能性もある。SSTのうち、売上税の法案は8月7日、サービス税の法案は8月8日に下院を通過した(「ニュー・ストレーツ・タイムズ」紙8月8日、8月9日)。

(田中麻理)

(マレーシア)

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