両国大統領が会談、経済交流復活へ
(ウズベキスタン、タジキスタン)
欧州ロシアCIS課
2018年08月21日
タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領が8月17~18日にウズベキスタンを訪問し、シャフカト・ミルジヨエフ大統領と会談。戦略的パートナーシップ協定を含む27の文書に署名した。ミルジヨエフ大統領の就任後、両国の関係改善が急速に進んでいる。中断されていた経済交流も復活しつつある。
今回両国間で協力が合意されたのは国境管理、学術、文化、教育、司法、農業、地理探査、自動車産業、放送、青少年交流、対外政策、反独占、専門人材育成などの幅広い分野。タジキスタンのザラフシャン川に2つの水力発電所を共同で建設する。会談に先立つビジネスフォーラムでは、民間分野でウズベキスタンのウズプロムストロイ銀行とタジキスタンのアモナト銀行間でウズベキスタン製品のタジキスタン向け輸出の信用供与枠1,000万ドルの設定など、合計1億300万ドルの合意文書が署名された。
ウズベキスタンとタジキスタンをはじめとする中央アジア諸国との関係は2016年12月のミルジヨエフ大統領就任後、大きく前進している。隣国との関係強化を重視する同大統領は国境画定問題に積極的に関与。2017年9月にはキルギスと大部分の国境画定で合意。同年11月にはカザフスタン、トルクメニスタンとの3国境が画定した。タジキスタンとの関係では2018年3月に一部国境と水力発電所の所有権をめぐる問題が決着し、1990年代のタジキスタン内戦や2000年代の国際テロの影響などで縮小した経済交流が再開・活発化している。輸送分野では航空便(1992年に休止、2017年4月から再開)、鉄道(2011年から休止、2018年2月に再開)、定期バス(1990年代に休止、2018年5月に再開)などが復旧。2018年3月には30日以内滞在のビザ取得が相互に免除され、国境審査場の数も拡大。エネルギー分野ではウズベキスタンのウズトランスガスが2012年に中断したタジキスタンへの天然ガス輸送を2018年4月に再開、同じく4月にはタジキスタンから売電も開始されている。最大の懸案事項となっているタジキスタンのログン水力発電所の建設(注)も、ウズベキスタン側が軟化し建設反対の立場から一部出資による共同建設の可能性を検討中と報じられている(「独立新聞」8月16日)。
(注)ソ連時代に建設が開始された未完工の巨大ダム。下流側のウズベキスタンは水利に関する問題から建設に反対する立場を取っていた。
(高橋淳)
(ウズベキスタン、タジキスタン)
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