政府、英国の「合意なきEU離脱」に向け準備
(フランス、英国)
パリ発
2018年08月31日
エドアール・フィリップ首相は8月27日、英国のEU離脱(ブレグジット)に関わる閣僚会議を招集、英国の合意なき離脱(ノー・ディール)に対応する政策措置の策定を求めた。
首相は「離脱交渉が合意した場合でも、対応措置は必要だ」「フランスは英国の合意なきEU離脱を望まない」とした上で、各閣僚に対し英国が離脱交渉で合意に達しないままEUから離脱した場合に予測される困難な状況に対処する措置を準備するよう求めた。首相はまた、これらの措置を国会の事前承認を必要としないオルドナンス(政府の委任立法権限に基づく法規)のかたちで迅速に導入する方針を明らかにした。
英国の合意なきEU離脱に備えた準備措置には、英国民のフランス滞在や国境審査を容易にする政策などが含まれるもよう。ジェラルド・ダルマナン行動・公会計相は既に英国のEU離脱後の税関検査の混乱を見越し、今後3年間に税関職員を700人増員する方針を示している。
他方、マクロン大統領は同日、フランスの今後1年の外交方針を説明する演説の中で、「(英国とEUとの)将来の関係の枠組みが年末までに合意に至ることを望む」としつつ、「フランスは英国・EU間の強い関係の存続を望むが、EU解体という代価は支払えない」「われわれの価値、基盤、EUの一体性を守るべきだ」と述べ、EUの基本理念である「人の移動の自由」を認めないまま単一市場にアクセスするなど、英国の「いいとこどりは認めない」とする従来の主張を繰り返した。
(山崎あき)
(フランス、英国)
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