ワークショップで税制改正の主なポイントを解説
(パキスタン)
カラチ発
2018年07月24日
ジェトロは7月13日、カラチ日本商工会と共同で税務ワークショップを開催し、当地進出日系企業関係者ら約20人が参加した。会計事務所の講師らが2018/2019年度(2018年7月1日~2019年6月30日)から適用される税制改正の主なポイントを解説した。
法人税率は2012/2013年度の35%から2017/2018年度の30%まで、毎年1%分ずつ段階的に引き下げられてきたが、2018/2019年度からも5年間にわたって毎年1%分の減税が継続されることとなり、2018/2019年度の税率は29%となった。
所得税については、最高税率が35%から15%へ引き下げられるとともに、これまで給与所得者と非給与所得者で異なっていた税率が統一された。
5億パキスタン・ルピー(約4億4,000万円、1パキスタン・ルピー=約0.88円)以上の課税所得がある法人や個人に対して課税されるスーパー・タックスの税率(注)は、毎年1%分ずつ引き下げられ、2018/2019年度は2%となった。2019/2020年度は1%、2020/2021年度には0%となる予定だ。
未配当利益税についても改正された。この税制は上場企業を対象に、税引き後利益の一定割合以上を配当しない場合、当該年度の税引き前利益の一部を未配当利益税として徴収するもの。企業の内部留保の蓄積が困難になるため、この税制は拡張・追加投資を妨げるものになっている。今回の税制改正で、免税条件が税引き後利益の「40%以上を配当した企業」から「20%以上を配当した企業」に緩和され、税率も7.5%から5%へと軽減された。
日系企業は「最低税」を引き続き問題視
ワークショップに参加した日系企業からは、「最低税」の改正や廃止を求める声が、以前にも増して多かった。同税は年間1,000万ルピー以上の売上高がある個人・法人に対し、純利益の有無にかかわらず、法人税もしくは売上高の1.25%(最低税)のいずれか高い方が課税される制度だ。同制度は、投資を行った直後でまだ収益が上がっていない企業、または売上高は大きいものの利幅の小さい薄利多売のビジネスを展開する企業にとっては負担が大きく、未配当利益税と同様に日系企業の投資を阻害する要因となっている。
(注)銀行業については税率が異なる。
(野上活)
(パキスタン)
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