産業総合博覧会イノプロム、産業デジタル化をテーマに開催
(ロシア)
欧州ロシアCIS課
2018年07月19日
7月9~12日にロシア・エカテリンブルクでロシア最大級の産業総合博覧会「イノプロム2018」が開催された。メインテーマは「デジタル製造」で、ロボットやモノのインターネット(IoT)技術、ビッグデータなどを活用して製造現場の「見える化」を図る仕組み「デジタルツイン」(注)に関連した機械設備・技術、ソフトウエアなどの展示が目を引いた。
併催された各ビジネスセッションでも、ロシアの産業デジタル化に向けた外国企業との連携や国内のインフラ整備、ブラック クイーン ブラック ジャックセキュリティーなどについてロシア政府や企業関係者の間で盛んに議論が行われた。「人・機械・ソフトウエアの効果的な連携」をテーマとしたメインセッションには、ドミトリー・コザク副首相、デニス・マントゥロフ工業商務相らに加え、安川電機の津田純嗣代表取締役会長が出席し、ロシアでの産業デジタル化の必要性や課題が議論された。津田会長は、産業デジタル化には生産プロセスを理解することが重要だと述べ、コザク副首相は「ロシアでは1万人の労働者に3台の割合でしか産業用ロボットが導入されていない。デジタル化を推進する世界各国の平均は100台以上だ」とロシアの対応の遅れを指摘した。
会場内ではデジタル分野の企業間連携協定も署名された。ドイツのシーメンスは、ロシアのソフトウエア開発カスペルスキー・ラボ、自動車部品開発・製造のイテルマと戦略的連携協定を締結した。イルクート(イルクーツク州)が製造する最新の中・短距離旅客機「MS-21」の部品を製造するアエロコンポジトの工場のデジタル化を進めるという。日本の産業機械大手ファナックは、ロシアの産業機械大手スタン(モスクワ市)と自動化・ロボット化技術の近代化を共同で促進する連携協定を締結した。
ロシア企業の間でも連携が進む。産業分野のIoTや人工知能(AI)技術の開発を手掛けるツィフラ(モスクワ市)は、鉱業分野の総合管理システムを開発するビストグループ(同)と鉱業分野でのAI技術導入に向けた連携協定を締結した。
「イノプロム2018」には世界20カ国から600社以上が出展し、4万6,000人以上が来場。日本からはジェトロが2017年に引き続きジャパンパビリオンを設置し、中小企業を中心に26社・団体が出展した。
(注)「デジタル上の双子」の意。物理的なモノ・空間をデジタル上に再現し、シミュレーションや管理などを行うこと。
(戎佑一郎)
(ロシア)
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