第3次金融支援プログラム完了へ
(ギリシャ、EU)
ミラノ発
2018年07月11日
ユーロ圏財務相会合は6月21日、欧州安定メカニズムの第3次金融支援プログラムにおいてギリシャが最終レビューに必要な全ての措置を完了したことを確認し、自立した市場復帰を支援する債務負担軽減策などに合意した。プログラムの最終段階の150億ユーロの追加融資についても、財務相会合の事前承認がなされた。うち55億ユーロは債務返済に、残りの95億ユーロは非常時用の資金として積み立てられる。ギリシャ政府は2022年まで基礎的財政収支のGDP比3.5%の黒字を維持し、2023年からはEUが定める枠に沿った財政運営が期待される。欧州委員会はこれによりギリシャ財政は2023~2060年で年平均GDP比2.2%の黒字を維持できると推計する。
第2次金融支援の下での欧州金融安定基金(EFSF)融資の返済は、利払いも含めて期限が10年繰り延べられ、2032年まで延長される。また、想定外の厳しい経済環境となった場合でも、基準値を達成できるように必要な範囲で措置を取る。各種の債務軽減措置は合意された財政改革の実施を前提とし、欧州委による経済動向や改革の進展状況のモニタリングも強化される。
IMFも第3次金融支援プログラムの完了を評価するとともに、追加的な債務救済措置の設定は予期せぬマクロ経済環境の変化へのセーフガードとなると好感している。こうした動きを踏まえ、米国格付け会社S&Pグローバル・レーティングは6月25日、ギリシャの長期債務格付けを「B」から「B+」に引き上げている。
(井上友里、山内正史)
(ギリシャ、EU)
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