対米輸入に報復関税、対象品目を発表
(カナダ、米国)
トロント発
2018年06月04日
クリスティア・フリーランド外相は5月31日、米国政府が1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づき、カナダ産鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の追加関税措置を6月1日から適用すると発表したことに対して、「全く受け入れられない」との声明を発表し、米国から輸入される鉄鋼製品やアルミニウム製品、その他の製品に報復輸入関税を課す意向を表明した。
関税の規模は、今回の米国の措置により影響を受けるカナダから米国への2017年輸出額に相当する金額分で、166億カナダ・ドル(約1兆3,944億円、Cドル、1Cドル=約84円)に上る。カナダ財務省のウェブサイトで輸入関税賦課の対象となる2つの品目リストが発表され、リスト1は25%、リスト2は10%の輸入関税が賦課される。これらの対抗措置は、7月1日から米国産の輸入品にのみ適用される予定で、米国がカナダに対する貿易制限措置を撤廃しない限り、維持される。
食品やワインなどの関税賦課の対象製品は、カナダ国内もしくは米国以外の貿易相手国から容易に入手できる品目であり、カナダの消費者に対する影響を避けられるとしている。今回の措置に対する国民との協議期間を5月31日から15日間設定し、今回の対抗措置や関税賦課対象品目案に対するコメントを受け付ける。
WTOとNAFTAに協議を要請
フリーランド外相は6月1日、米国の一方的な貿易制限措置は、WTOの貿易ルールに違反しているとして、WTOの紛争解決制度に基づく協議を要請したことを明らかにした。「安全保障を口実にした不適切で一方的な措置はWTO規則に適用していない」と指摘し、EUを含む、米国の措置に反対する関係国と密接に連携していく意向を示した。また、カナダ政府は、北米自由貿易協定(NAFTA)第20章に基づき協議を要請することを明らかにした。
(伊藤敏一)
(カナダ、米国)
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