パリ市のEVカーシェアリング「オートリブ」終了へ
(フランス)
パリ発
2018年06月28日
パリ市を中心に電気自動車(EV)カーシェアリングシステム「オートリブ」事業を展開するオートリブ・ベリブ・メトロポール事業組合(SAVM)は6月21日、「オートリブ」事業を委託運営するボロレ・グループとの事業委託契約を6月25日付で破棄することを決定した。これにより同システムは事実上、終了することになる。
2011年12月に導入されたオートリブは、ステーション型の乗り捨て可能なEVのカーシェアリングシステム。パリ市とオートリブ事業に参画する自治体から成るSAVMと12年間の事業委託契約を結んだボロレ・グループが、パリ市とその周辺市町村に合わせて約1,100カ所の充電ステーションを設置、自社が製造する電気自動車「ブルーカー」を約4,000台投入し運営していた。
「ル・モンド」紙(2018年5月30日)によれば、2018年4月時点の登録者数は15万3,542人で、1年前と比べると1万4,000人増えた。その一方で、利用件数はここ数年減少の一途をたどり、2017年の1日当たりの平均利用件数は1万3,251件で、前年から16%減少した。
これに伴い運営赤字額が膨張し、ボロレ・グループは契約が終了する2023年に累積赤字が約3億ユーロに膨らむと試算し、当初の事業受託契約の中で定められていた自社が負担する赤字額の上限(6,000万ユーロ)を差し引いた2億3,300万ユーロをSAVMに支払うよう求めていた。
パリ市のアンヌ・イダルゴ市長は6月20日、「レゼコー」紙とのインタビューで、オートリブが赤字を続けた理由として「オンライン配車サービス、スクーターのフリーフローティング型(路上や公共駐車場などで借り受け・返却が可能)シェアリングサービス、電動アシスト自転車の普及など、(オートリブ以外の)移動手段やテクノロジーの進化」を挙げ、オートリブの事業モデルを疑問視。「市民のニーズにより適応し、収益確保が期待できる新しいモデルを検討すべきだ」とし、フリーフローティング型のカーシェアリングシステムなどについて「既に複数の自動車メーカーと協議している」ことを明らかにした。
これに対し、ボロレ・グループは契約破棄を不当だと批判、提訴することも辞さない構えだ。
(山崎あき)
(フランス)
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