米の核合意離脱発表を受け、乗用車価格が上昇
(イラン)
テヘラン発
2018年06月27日
米国は5月8日、イランの核開発に関する「共同包括行動計画(JCPOA)」から離脱を発表し、この計画に基づき解除していたイラン経済制裁の再開を発表した()。経済制裁の再開には猶予期間が置かれており、現時点ではまだ再開されていないものの、イランの自動車部門においては米国のJCPOA離脱の影響が徐々に出始めている。
5月8日の発表により、米国民や米国企業の対イラン取引を禁じる「一次的制裁」に加え、イランと取引を行う外国人や外国企業に対しても金融制裁などを科す「二次的制裁」の復活が予定されている。イランは主に乗用車はアラブ首長国連邦(UAE)、ドイツ、フランス、自動車部品は中国、韓国、フランスなどから輸入しているが、米財務省外国資産管理局(OFAC)が発表した資料には、90日間の猶予期間後(8月6日以降)に再開する制裁として「自動車産業に関する取引」という記載があったことから、中国を除くこれらの国々との取引が今後は困難になるという懸念が高まっており、その結果、国内で販売される乗用車の価格が値上がりしている(表参照)。
国内生産車について、当地ブランド車(イラン・ホドロおよびサイパ)の値上がり幅は小さいが、部品の大半を外国から輸入して組み立てている外国ブランド車は30%超も値上がりした。為替レート変動の影響は現状では大きくないが、価格が引き上がった状況だ。
輸入車も同様に30%前後値上がりしており、外国からの乗用車および乗用車部品の供給が今後停止してしまうという懸念が価格に転嫁されたかたちだ。
(藤塚理)
(イラン)
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