第1四半期のGDP成長率は前期比0.6%と横ばい
(スイス)
ジュネーブ発
2018年06月07日
経済省経済事務局(SECO)が5月31日に行った発表によると、2018年第1四半期のスイスの実質GDP成長率は前期比0.6%(前年同期比2.2%)と前期のペースを維持した(表参照)。2017年後半と比べ、幅広い産業に支えられたもののやや鈍化した。
需要項目別では、ヘルスケア、食品に加え交通関連の個人消費が伸び、民間最終消費支出が成長を支えた。設備投資は研究開発需要が回復し、輸送機器およびITへの投資が増加したことから3.6%増となった。
第1四半期の財およびサービス貿易は、国内需要の拡大による財輸入の増加により、GDP成長率の抑制要因となった。化学・医薬品、輸送機器、機械の輸入が特に増えたほか、ライセンスや特許使用料の伸びによりサービス輸入も増加した。財の輸出は好調を続ける精密機器、時計、宝飾品に支えられて前期比2.0%増加し、機械・金属も継続的に成長している。
産業別では、製造業が前期比0.2%増と緩やかな成長にとどまった一方、サービス分野は好調を維持し、商取引(0.8%増)と金融(1.0%増)は前期から回復の兆しがみられる。交通輸送および通信(1.3%増)、ヘルスケア(1.2%増)、ビジネス関連(0.5%増)の成長率は前期と比べ加速した。なお、娯楽産業は2018年に開催される国際スポーツイベントの影響により、7.3%と急増した(注)。
(注)スイスには主要国際スポーツイベントの本部が立地するため、夏季・冬季オリンピック、FIFAワールドカップ、サッカーUEFAチャンピオンズリーグの開催年にはそれらの付加価値がスイスのGDPを押し上げ、逆に翌年には成長率にマイナスに作用する。SECOはスポーツイベントによる影響を除いた数値を別途、算出しており、調整後の第1四半期GDP成長率は0.4%だった。
(杉山百々子)
(スイス)
ビジネス短信 750948bfd8b090a5