三井物産、メキシコ農業資材販売大手を買収

(メキシコ)

メキシコ発

2018年06月26日

三井物産は6月18日、トマトの産地で有名なシナロア州にあるメキシコ有数の農業資材販売会社アデルノール(注1)の持ち株会社であるCAN(注2)の株式の80%を取得することを発表した。メキシコは、野菜・果実の世界有数の輸出国だ。最大の輸出品目はアボカドで、トマトは2位。トマトの2017年の輸出額は19億5,548万ドルに上る。北米市場に隣接する地理的優位性やコスト競争力を背景に、対米輸出が9割以上を占めている。

他方、近年は対日輸出が急速に伸びており、2017年は前年比88.7%増の598トン、2018年1~3月は前年同期比22.0%増の191トン。2018年1~4月の日本の生鮮トマトの輸入量の約10%を占め、メキシコは韓国、ニュージーランドに次ぐ3位の輸入相手国となっている。日本ではマクドナルドなどの外食店舗で使用されているほか、ミニトマトについてはコストコなどで小売販売されている。

三井物産とアデルノールのプレスリリースおよびウェブサイトによると、CANの100%子会社であるアデルノールは現時点でメキシコ全国に38カ所の営業所を有し、トウモロコシやソルガム農家向けの融資を行う「金融」部門、農業や食品関連企業を誘致する「工業団地」部門、社内人材を育成する「大学」部門のほか、「農業革新」「ロジスティクス」「貿易」の計6部門から成る。1969年の設⽴以来、北西部から中央部にかけて肥料・農薬など多岐にわたる農業資材の販売を展開し、100人以上の農学士による営農指導の実践、農家への直売を通じたソリューション提供型ビジネスを強みとして、多様な作物を対象にビジネスを拡⼤している。

三井物産のプレスリリースによると、同社は中期経営計画で「ニュートリション・アグリカルチャー」を成⻑分野の一角と位置付けている。農業資材事業では、チリのアナグラ、ペルーのエキリブラなど他の中南米企業にも出資を行っており、今回のアデルノールの買収により、中南米地域の農業資材販売会社3社間のシナジー(相乗効果)を発揮し、一体運営を加速することも狙っている。

(注1)Adelnor:Nueva Agroindustrias del Norte

(注2)CAN:Consorcio Agroindustrias del Norte

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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